7年間当てられなかったフリーランス記者が見た首相会見と菅政権

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インタビューに応じる神保哲生さん=東京都品川区で2021年1月25日午後2時58分、古川宗撮影
インタビューに応じる神保哲生さん=東京都品川区で2021年1月25日午後2時58分、古川宗撮影

 国会の閉会や緊急事態宣言の発令など重要な節目に開かれる首相記者会見。内政や外交、政権の不祥事などさまざまな質問を記者が首相に投げかける貴重な場ではあるが、首相が事前に用意した回答を読み上げることに終始したり、フリーランス記者の質問の機会が著しく少なかったりと問題も多い。元AP通信の記者で長年首相会見に参加してきたビデオジャーナリストの神保哲生さんに、首相やメディアをどう見ているのか聞いた。【古川宗/統合デジタル取材センター】

日本の政治は今も官僚が事実上支配している

 ――神保さんは元々米国で記者人生をスタートさせたのですね。

 ◆15歳で渡米し、コロンビア大学の大学院などで学んだ後、ボストンにあるクリスチャン・サイエンス・モニターという新聞社で記者人生をスタートさせ、その後AP通信に移りました。AP通信では通常、ある程度国内で経験を積んだ記者しか海外の支局には出さないのですが、私の場合はやや例外的で、AP通信に勤め始めて間もなく韓国で政変が起き、東京支局から多くの記者が韓国に応援に駆り出されてしまうということがありました。そのため、東京の欠員をすぐに埋める必要が生じ、日本語のできる私が通常のルートを経ずに東京支局に派遣されることになりました。

 東京支局では永田町の政治を担当しました。着任直後の1989年には昭和天皇の崩御やリクルート事件などで、ちょうど日本の政治が激動している時代でした。

 ――日本での政治取材をどう感じましたか。

 ◆形の上では政治家が官僚をコントロールしているように見えますが、実際の政治は官僚に支配されていることを痛感しました。今は内閣人事局が言うことをきかない官僚を飛ばすことができるようになりましたが、それでも日々の政府を動かしているのは官僚で、本質的には何も変わっていないと思います。実際、日本の大手メディアの記者も、政策に関する情報はほとんど官僚から得ています。メディアに対する影響力を含め、官僚支配が隅々まで及んでいることが、日本で取材をし始めて最初に感じたことでした。

 ――確かに省庁担当になると、その省庁幹部への取材が仕事の中心になってしまいます。

 ◆日本の大手メディアの記者は無自覚のうちに官僚に取り込まれているようにも感じました。記者クラブの記者は毎朝、自分が働く放送局や新聞社ではなく、担当する省庁に登庁し…

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