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不器用パパのスイス育休日記

妻が2歳の息子を連れて仕事でスイスに赴任。35歳記者も育休を取って旅立ちました。不器用な新米パパのドタバタ劇。

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不器用パパのスイス育休日記

公用語が四つも 2歳児に負ける語学力

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公園でフランス語の看板を見る息子=スイス・ジュネーブ州で2021年2月22日午後4時10分、平塚雄太撮影
公園でフランス語の看板を見る息子=スイス・ジュネーブ州で2021年2月22日午後4時10分、平塚雄太撮影

平塚雄太/西部報道部記者

 仙台市出身の36歳。外国語に堪能で同い年の妻は2歳の息子を連れて仕事でスイスに赴任。一人、日本に残された。ならばパパは育休で行きます! 料理の盛り付けはぐちゃぐちゃ。掃除や洗濯も得意ではない。物価高のスイスで慣れない主夫業をこなせるか。新型コロナウイルスにも翻弄(ほんろう)される不器用な新米パパの異国でのドタバタ劇を随時更新します。

息子よ、「シアン」って何のこと?

 スイスで働く妻は日本人だが外国語が得意だ。英語で仕事をしていて、留学経験からドイツ語やスウェーデン語もある程度話せるそうだ。私たちが住むスイスのジュネーブ州はフランス語圏のために妻は職場講習でフランス語も習っていて、「おかげでドイツ語を忘れていく」と苦笑している。日本語しかほとんど話せず、英語すら怪しい自分は冗談じゃないと言いたい。

 さらに2歳の息子は現地の保育園で着々とフランス語を覚えてくるので、2020年夏に私が育児休暇を取ってスイスに来た時は1人だけ完全に取り残されている感覚だった。例えば、息子が家で絵本を見て「シアン」と言っても、妻は「シアンだね。すごいね」とほめてあげられるのに、自分は何のことかわからない。後で聞いたら「シアン」は「犬」のことだった。なんだか悔しい。英語は日々の保育園の送迎で使うのでそこで練習しつつ、フランス語も覚えようと途中から有料のオンライン講座で勉強を始めた。

 3カ月たってやっと一部の街の看板が読めるようになったが、まだろくに会話はできない。英語も少しは使えるようになってきたが、込み入った場面は今も妻に頼らざるを得ず、情けない思いをしている。そうこうするうちにもう3月の帰国が迫ってきてしまった。

英語で尋ねても答えは「ノン!」

 日本のガイドブック「地球の歩き方 スイス編」には「旅行するだけならば英語で十分。世界有数の観光国だけあって、こちらの英語がつたなくても聞いてくれるし、言いたいことを察するのがうまい」とある。これは確かにその通りだと思う。フランス語圏のジュネーブ州でも私の下手な英語で大体何とかなる。それでもたまに、フランス語しか話せない人、あるいは「話さない人」に出会う。

 こちらのスーパーマーケットでも日本のようなポイントカードがある。その登録をしたいと尋ねたら、英語が全く通じない店員に当たって困ったことがある。こちらの店員は日本ほど低姿勢ではないが、きちんと対応してくれるし、言葉はわからずとも客の言うことは聞こうとしてくれる。この時も英語は「ノン!」という女性店員にありとあらゆる英単語を並べて説明を試みた。

 店員は理解しようとしてはくれたが、フランス語で何やらいろいろ言って、私が望むポイントカードではなくキャンペーン商品のシールを渡してきた。「これは違う」。そう言いたかったが、面倒になってその場は諦めた。

 別の日、同じ系列のスーパーでサービスカウンターがある大きな店舗に来た。そこでポイントカードのことを改めて尋ねてみた。すると、英語で話しかけ、通じているようなのだが、ひたすらフランス語で返された。やはり英語は「ノン」の店員だったが、ポイントカードのことを聞くと申し込み用紙をくれた。

 フランス語で言われたが、店員が身ぶりも交えてくれたので何となく理解できた。どうやらこれに記入して切手を貼らずに郵送すればいいようだ。英語で「センドバイポスト(郵送)?」などと聞くと、フランス語で「ウイ、シルブプレ(はい、お願い)」と返ってくる。後で調べたら「送る」は仏語で「アンボイエ」とセンドと大きく違う。明らかにこちらの英語を理解しているはずなのに、なぜフランス語で返…

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