アルツハイマー病の発症抑制できるか 新薬承認可否に世界が注目

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
MRIによる脳の断面図。正常な人と比べ、アルツハイマー型認知症の人の脳は、記憶などに関わる海馬という器官の萎縮がみられる(円内)=近畿大学医学部・石井一成教授提供
MRIによる脳の断面図。正常な人と比べ、アルツハイマー型認知症の人の脳は、記憶などに関わる海馬という器官の萎縮がみられる(円内)=近畿大学医学部・石井一成教授提供

 認知症の高齢者は国内に約500万人とされ、高齢者の7人に1人に上る。現時点で根本的に治したり、確実に予防したりする方法は見つかっていない。その認知症の原因のうち、大部分を占めるアルツハイマー病に今夏、画期的な新薬が誕生するかもしれない。【酒井雅浩】

 認知症は、何らかの原因によって脳の神経細胞が壊れたり、働かなくなったりすることで認知機能が低下し、それまでできていた身の回りのことや家事などができなくなり、生活に支障を来す状態を指す。なかでも6~7割がアルツハイマー病という不可逆的な脳の病気が原因で、脳にたんぱく質の「ごみ」がたまることで神経細胞が死滅し、思考や記憶の機能が損なわれるとされている。

 このたんぱく質のごみを除外し、脳内に蓄積するのを防ぐことができれば、アルツハイマー病の発症を抑制できる可能性がある。そこで世界中の研究者が注目したのは、アルツハイマー病患者の脳内に蓄積していることが分かっている「アミロイドベータ(Aβ)」というたんぱく質だ。その中で、米バイオジェンとエーザイが抗体薬「アデュカヌマブ」を共同開発し、昨年7月、Aβを標的とした薬として米食品医薬品局(FDA)に世界で初めて承認申請した。昨年10月には欧州医薬品庁(EMA)に申請。国内では昨年12月10日、厚生労働省にも薬事承認を申請している。

 アデュカヌマブは脳内にたまったAβを人工的な抗体で排除する点滴薬だ。両社によると、1年半の臨床試験で、投与した患者のAβが、…

この記事は有料記事です。

残り1475文字(全文2103文字)

あわせて読みたい

注目の特集