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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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 4年前の米映画「オンリー・ザ・ブレイブ」では緑の山を前に森林消防隊長が新米隊員に言う。「この景色を胸に刻め。火災を経験したらもう美しい景色に見えなくなる。目の前に広がるのはただの燃料源だ」▲2013年にアリゾナ州で起きた山火事で、消防隊員19人が犠牲となった悲劇を描いたこの映画である。予想外の天候の変化により猛烈な勢いで広がった火に退路を阻まれた惨事で、殉職した隊員は全米でヒーローとして追悼された▲米国などの乾燥地の森林火災の恐怖を示す冒頭のせりふだが、日本でも1971年に広島県呉市の山火事で消防署員18人が殉職する悲劇があった。日本の場合、山林が「燃料源」と化してしまうのは、冬から春にかけてのことという▲栃木県足利市の山火事は100ヘクタール以上に広がって、なお鎮火には何日かが必要なようだ。避難勧告が出たのも300世帯を超え、休校の続く学校もある。自衛隊や近県のヘリコプターからの放水を含め、空陸での消火作業が続いている▲落ち葉が積もる山肌の火に乾燥した強風が吹きつけ、広い範囲に飛び火して延焼した今回の火災である。やはり「燃料源」として見直さねばならない春先の山だ。完全な鎮火の決め手は、週明けに期待される降雨となりそうである▲春に山火事が多いのはレジャーや作業で人が山に入るためで、今回も原因はハイカーの使った火とみられる。落雷などによる自然発火も多い米国に比べれば、人の注意で減らせる日本の春の山火事である。

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