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みっちん大変・石牟礼道子物語

石牟礼道子さんの伝記です。道子さんのそばにはいつも猫がいました。道子さんの代々の“側近猫”の語りで構成します。

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みっちん大変・石牟礼道子物語

/10 海底/3 そろりほろり動乱へ=米本浩二

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=田鍋公也撮影
=田鍋公也撮影

 <土曜カルチャー>

 ◆海底(うなぞこ)

前回までのあらすじ

 天草四郎に導かれた道子は寛永14年の島原・口之津にたどりつく。島原・天草の乱直前である。凶作や重税に追いつめられた民衆はカリスマ性のある四郎のもとに集結する。「もうひとつのこの世」を求めて闘いが始まろうとしていた。

 寛永14(1637)年10月中旬である。天草の大矢野にいる。むっくり起き上がった四郎が無言で身支度し、音をたてないように出ていったのを確認し、オレもむっくり起きた。どこへ行くのだろう。毎晩、四郎がそっと出ていくのが気になっていた。

 夜間の追跡はオレさま黒猫の得意とするものである。細長い影を見失うまい。全集中。不意に、首根っこをつかまれた。「なんで黙って行くのよ」と不服顔のみっちんが眠い目をさらに細くしてにらみつける。

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