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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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400トンの震災遺構を現状のまま移動 守りたい思いと職人技

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震災遺構として整備するため解体せずに移設する「曳家」が進められている「命のらせん階段」=宮城県気仙沼市で2020年11月23日午後3時15分、神内亜実撮影
震災遺構として整備するため解体せずに移設する「曳家」が進められている「命のらせん階段」=宮城県気仙沼市で2020年11月23日午後3時15分、神内亜実撮影

 宮城県気仙沼市に、外付け階段が東日本大震災時に多くの人命を救ったことから「命のらせん階段」と象徴的に呼ばれる3階建てのビルが残っている。一帯は津波に襲われたが、この階段を上って約30人が助かった。いま、震災遺構として保存するため、建物を解体せずにそのまま移動させる「曳家(ひきや)」が進む。前例のないプロジェクトに挑むビル所有者と曳家職人の姿を追った。【神内亜実】

 太平洋からの強い風が絶え間なく吹き付ける中、復興工事のつち音が響く。気仙沼市の内(ない)の脇地区では、かつてあった住宅街は更地になり、隣接地で盛り土工事が進む。

 更地にぽつんと残るビルの内部には生々しい津波の爪痕が刻まれている。1階の天井ははがれ、流れ込んだ泥が至る所にこびりつく。2階へつながる階段の壁には津波が押し寄せたことを示す海面の黒い線がくっきりと残る一方、3階の部屋は時が止まったかのように整然としていた。

 10年前のあの日、この一帯を高さ5メートルを超す波が押し寄せ、のみ込んだ。

 激しい揺れの後、…

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【東日本大震災】

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