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ミャンマー軍のデモ鎮圧 民意の封殺は許されない

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 ミャンマー国軍によるクーデターから、あすで1カ月となる。この間、国軍による抗議デモ弾圧が激しさを増している。

 首都ネピドーではデモに参加し、頭部を撃たれた20歳の女性が死亡した。その後も複数の市民が犠牲になった。非武装の市民への銃撃は言語道断である。

 治安に関する法律の効力が停止され、裁判所の許可なく逮捕や家宅捜索をできるようになった。多くのデモ参加者が夜間に連行されている。

 それでも国民の反発が収まる気配はない。

 職場を放棄する「不服従運動」が公務員を中心に広がった。クーデター反対のゼネストに数百万人が参加し、少数民族勢力の多くも不服従運動への支持を表明した。

 半世紀に及んだ軍政は、デモ隊に銃を向けて鎮圧する流血の歴史を繰り返してきた。

 しかし、10年前の民政移管で内外の状況は大きく変わった。

 40人当たり1台だった携帯電話の普及率は1人1台になった。ネット利用率は1%以下だったのに、今では国民の半数がフェイスブックを利用しているという。

 SNS(ネット交流サービス)を駆使する若者たちは、香港やタイの民主活動家とつながり、相互に影響を与えている。

 民政下で多くの外国企業を受け入れ、急成長した経済への影響も深刻だ。キリンホールディングスは国軍系企業との合弁解消に踏み切った。シンガポールの投資家も、ネット上の抗議を受けて投資引き揚げを表明した。

 いったん手にした自由と豊かさを国民から取り上げ、強権統治の閉鎖体制に逆戻りすることなど不可能である。

 米英両国は国軍首脳らへの制裁を発表した。欧州各国には同調する動きが見られる。

 日本は制裁に慎重な姿勢を見せるが、民主主義に反するクーデターを容認しないという姿勢は明確に示すべきだ。

 このままでは国軍は行き詰まるだけであろう。パイプのある日本はその厳しい現実を直視させ、昨年11月の総選挙の結果を受け入れるよう説得しなければならない。惨事を繰り返させないための外交努力が重要だ。

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