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3・11それから

再生へ向け歩み始めた東日本大震災の被災者を記者が継続取材します。各回の続編を随時掲載します。

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3・11それから

震災10年 福島・南相馬 夫が行方不明の女性 娘3人の成長、励みに

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 祭壇に置く写真が1枚増えた。2月3日。福島県南相馬市の病院で、門馬麻野(まや)さん(42)の夫の祖母、大久(だいひさ)セツエさんが亡くなった。93歳だった。夫とその両親は今も行方不明のままだが、セツエさんの遺骨は戻ってきた。花の水を替える時、夫の写真のそばの花瓶にも、自然と手を伸ばせるようになった。

 「どこかで生きているのでは」。しばらくは、そんな気持ちを捨てきれなかった。東京電力福島第1原発が爆発し、夫の孝文さん(当時35歳)らの安否が分からないまま、福島市の避難所に逃げた。その年の夏に葬儀は済ませたが、「お線香上げてもいい?」と人に聞かれるのが苦しかった。「誰とも話したくない」。心に壁を作り、閉じこもった。夢に出てくる孝文さんはいつも車に乗り、こちらには気付かずに無表情で通り過ぎてしまう…

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