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総務省幹部が、放送事業会社「東北新社」から高額の接待を受けていた問題。同社幹部として接待役を担った菅義偉首相の長男正剛氏が、菅氏の総務相時代に就いていたのが「大臣政務秘書官」というポストだ。正剛氏が総務省幹部と知り合うきっかけとなり、今回の接待問題の「起点」ともなったこのポスト、実は国会議員の子息の「指定席」となっている実態がある。れっきとした国家公務員なのに、税金で世襲を強化させているこのおかしな「永田町文化」について考えた。【古川宗、金志尚/統合デジタル取材センター】
政務秘書官時代に正剛氏と総務省幹部に接点
まずは、今回の問題の経緯から振り返ろう。菅正剛氏は、首相が総務相だった2006~07年に、大臣政務秘書官に任命された。その理由について菅首相は2月5日の衆院予算委員会で、「当時、確か私の秘書が2人地方議員に出馬した時だと思う。急きょ大臣になったとき、秘書官として採用して働かせたということです」と説明した。人手不足だったので、間に合わせに頼んだ、というわけだ。
その前日の衆院予算委員会の質疑では、「世襲批判をしているのに、(長男を)政務秘書官に任命し、世襲よりはるかに甘いことをやってる」という野党の批判に対し、「秘書官にすることはルールのもとに秘書官にしてるんです。世襲制限というのは私は言い続けてきています。息子は3人いますけど、政治家には誰もしません」と色をなして反論している。
もっとも、正剛氏の秘書官起用は、胸を張れる話でもなかったようだ。関係者によると、正剛氏は大学卒業後もバンド活動などをしていて、秘書官に必要な実務経験などがあったとは考えにくい。首相自身、過去の雑誌の取材で正剛氏を秘書官にした理由について「バンドをやめてプラプラしていたから」と語っている。接待を受けた幹部の一部は、正剛氏とは秘書官時代に知り合ったと答弁しており、「プラプラしていた」正剛氏が高級官僚と知り合うきっかけを、首相が作ったことは間違いない。
政務秘書官は大臣が自由に任命できる
ではそもそも、政務秘書官とはどんな身分なのだろう。
各大臣には、国家行政組織法などに基づいて、「政務秘書官」と「事務秘書官」の2種類の秘書官が置かれる。事務秘書官は大臣としての公務を補佐する仕事で、各省庁の職員から選ばれる。一方、政務秘書官は大臣の政治家としての仕事(政務)を補佐する。大臣は自らの権限で、外部から自由に任命することができる。身分上は、特別職の国家公務員となり、内閣人事局によれば、給与については特別職給与法で算定されるという。人事局の担当者は「個々の職歴や経歴に基づいて算定されますが、昨年4月時点だと、最低で月額…
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