- Twitter
- Facebook
- はてなブックマーク
- メール
- リンク
- 印刷

「断腸の思い」は、中国の古典「世説新語」におさめられた故事に由来する。ある武将の船に従者が子ザルを乗せると、母ザルが追いかけて飛び乗ってきた。しかし、母ザルは死んでしまう。調べると腸が断ち切れていた。このことから、腸がちぎれるほどのつらさや悲しみを「断腸の思い」と言うようになったとされる。
腸は私たちの生命活動に欠かせない臓器だ。中でも、栄養の吸収に欠かせない小腸は、機能が失われると治療が難しい。現在、唯一の治療法は移植だが、拒絶反応が強く、生存率が低い。国内の実施例は30例ほど。人工的に小腸を作る再生医療も、構造が複雑なため不可能とされてきた。
先月、慶応大などのチームが画期的な研究成果を発表した。ラットの大腸表面の細胞をはぎ取り、そこへ小腸の細胞から培養した細胞のかたまりを注入。小腸を切り取ったラットに、この「小腸化した大腸」を移植すると、栄養を吸収できるようになったのだ。
この記事は有料記事です。
残り544文字(全文939文字)