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コロナ下の出生数減少 産みたいと思える社会に

 2020年の出生数が速報値で約87万人となり、過去最少を更新した。婚姻数や妊娠届も前年より大幅に減った。

 この傾向が続けば今年の出生数は80万人を割り込むという研究者の試算もある。その場合、国の想定よりも10年速いペースで少子化が進むことになる。

 新型コロナウイルスの感染拡大が影響したのだろう。休業要請などでは女性が多い非正規労働者が雇用調整のしわ寄せを受け、生活が不安定になった。

 夫婦が理想とする数の子どもを持たない理由のトップは「子育てや教育にお金がかかりすぎる」ことだ。感染拡大の経済的な影響は家計にも及び、子どもを持つことをためらう原因になっている。

 結婚や出産、子育てに対する若い世代の不安を取り除くことが急務だ。

 政府は少子化対策を「最大の課題」と位置付けているが、対応は不十分だ。不妊治療への公的医療保険の適用には踏み込んだものの、子育て世代全般を対象とする支援策は乏しい。

 まず力を入れるべきは、労働政策だ。

 未婚の人が増えていることが、少子化の大きな要因になっている。特に非正規雇用の人の未婚率は高い。雇用や収入が安定しないために結婚を諦めざるを得ない現状は、早急に改善すべきだ。

 政府は「同一労働同一賃金」の徹底を企業に促し、非正規の待遇改善につなげる必要がある。

 成長分野に合わせた職業訓練を充実させ、非正規から正規に移りやすい仕組みも整えるべきだ。

 今春卒業予定の大学生らの就職内定率が前年より下がっていることも気がかりだ。非正規で働く人が増える可能性がある。国や自治体が丁寧な情報提供をして、学生と企業をつなぐことが必要だ。

 子育て費用の軽減を図るため、児童手当や大学など高等教育の無償化の拡充にも思い切って取り組むべきではないか。

 安倍晋三前政権時代に掲げられた「待機児童ゼロ」の目標は、いまだに達成されていない。保育所の質の低下も指摘されている。

 若い世代が、子どもを産み育てる見通しが持てる社会の実現こそが、政府に求められている。

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