多摩川浸水、提訴へ 「排水ゲート閉めず被害」 川崎市民70人

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷

 2019年の台風19号で多摩川の水が排水管を逆流し、川崎市中原、高津両区を中心に大規模浸水した問題で、住民約70人が3月9日、市を相手取り、慰謝料などの損害賠償を求める訴訟を横浜地裁川崎支部に起こす。賠償請求額は2億円前後になる見通しだ。住民らは、排水ゲートを閉めなかった市の判断が被害を拡大させたと訴えている。

 関係者によると、原告は、被害が大きかった▽中原区宮内▽中原区上丸子山王町▽高津区諏訪――の3地区や周辺の住民。戸建てやマンションに住んでいた人たちで、一律100万円の慰謝料とリフォーム代の賠償などを求める方針だ。

 台風19号の影響で、川崎市内では排水管の周辺で約110万平方メートルが浸水。大雨で多摩川が増水し、市街地から川に雨水を流す排水管を川の水が逆流したのが原因だと市は発表している。市街地と川を隔てる排水ゲートがあるが、市は閉めなかった。過去の大雨被害から、市街地で雨水の行き場がなくなるためゲートを閉めない操作手順を定めていたからだ。

 市は住民説明会で、「対応はやむを得ず、責任はない」と主張。20年10月に公表した検証報告書では、「想定以上に多摩川の水位が上昇した」ことを理由に「補償や賠償は難しい」とする考えを示した。一方、今後逆流が起きた場合はゲートを閉める手順に改めている。

 台風19号で、川崎市内では武蔵小杉駅周辺のタワーマンションが浸水に伴う停電や断水の被害を受けたが、この住民は原告に含まれていない。【洪玟香】

あわせて読みたい

ニュース特集