後藤正治さん スリム化し「地味オリンピック」に回帰を
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新型コロナ禍で東京五輪の開催が危ぶまれている。一方、過度な商業主義を背景に、近年の五輪には批判的な視線が向けられてきた現実もある。ノンフィクションライターでスポーツへの造詣が深い後藤正治さんも五輪のあり方に警鐘を鳴らす一人だ。大会規模を縮小した「地味オリンピック」を提唱する後藤さんの思いを聞いた。【金志尚/統合デジタル取材センター】
「スポンサーファースト」
――東京では1964年以来2度目の五輪になりますが、この間、五輪はその姿を大きく変えました。
◆84年のロサンゼルス大会以降、五輪は商業主義の考えのもと、ビジネス化が進みました。よく「アスリートファースト」と言われますが、今の五輪はそうではありません。陸上や水泳、体操など人気競技の決勝が米国の放送のゴールデンタイムに合わせて実施されているのが、その象徴です。アジアでの開催だと午前中に行われることが多いので、選手がコンディション調整に苦しむのが常です。米国の放送局が巨額の放映権料を支払うため、国際オリンピック委員会(IOC)もその意向に従わざるを得ないという「事情」があるからですが、これでは一体誰のための五輪なのでしょうか。
本来、五輪をはじめとするスポーツ大会はまず選手のためにあります。アスリートファーストとは、そういうことです。でも今は、残念ながら「スポンサーファースト」になっているのが実情です。
「滅びの道」にある五輪
――今回の東京五輪では当初の見込みから大会経費がどんどん膨らんでいきました。
◆64年の東京大会のとき、私は高校生でした。当時の五輪にはある種のつつましさがありました。別に昔がよかった、などと言うつもりは全くありません。ただ、こ…
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