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みずほ銀システム障害 ずさんな危機管理に驚く

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 銀行に対する顧客の信頼を失墜させる不手際である。

 みずほ銀行が2月28日、システム障害を起こした。全国規模のトラブルは2002年と11年に次いで3度目だ。

 全国に設置した現金自動受払機(ATM)の半数以上で、お金が引き出せなくなり、挿入したキャッシュカードや預金通帳が戻らない事態が頻発した。インターネットバンキングも一時、使えなくなった。定期預金のデータ更新作業中に不具合が起きたという。

 事後対応もお粗末極まりなかった。行員が対応するまでATMの前で4時間も待たされた例もあり、顧客の間に不安を広げた。日本を代表するメガバンクとしてあり得ないずさんな危機管理だ。

 復旧は1日朝以降にずれ込んだ。藤原弘治頭取が記者会見して「今回の事態を重く受け止める」と謝罪したのは、この日の夜になってからだ。

 過去に起こした2度のシステム障害では、いずれも金融庁から業務改善命令を受け、当時のトップが引責辞任している。

 11年3月の東日本大震災直後の義援金振り込みをきっかけとしたトラブルは完全復旧まで10日近くも要し、社会に大きな混乱を及ぼした。

 この反省から、約4500億円を投じてシステムを刷新し、一昨年夏に稼働させた。にもかかわらず、今回の大規模トラブルを防げなかった。

 顧客対応が後手に回った背景には、リストラの影響も指摘されている。店舗の利用客を減らそうと、窓口やATMでの取引手数料を引き上げ、顧客をインターネットバンキングに誘導する戦略を進めてきた。

 超低金利や、新規参入したIT金融企業との競争激化による収益悪化に歯止めをかける狙いだ。

 しかし、経営効率化を最優先した結果、トラブル発生時の人繰りもつかない状況になったとすれば、本末転倒だ。

 まず第三者も入れて原因を徹底して究明する必要がある。トラブル発生時の顧客サポート体制の立て直しと、経営責任の明確化も求められる。

 さもなければ、顧客の信頼は取り戻せない。

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