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東日本大震災10年へ

東日本大震災は2021年3月で発生から丸10年の節目を迎える。

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東日本大震災10年へ

続・沿岸南行記/17 「初の古里」家族で紡ぐ 福島・大熊町から楢葉町へ

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 視界を占領する高さ8・7メートルの防潮堤を上り、その上に立つと、どこまでも青い海が広がっていた。「ここ、散歩するようになるんだね」。松本昌弘さん(35)と妻の芽衣(めい)さん(28)は、2020年12月に生まれたばかりの長女、灯(ともり)ちゃんに話し掛けた。2月11日、福島県楢葉町前原地区。2人が記者を案内してくれたのは、昌弘さんが幼い頃に走り回ったという海岸だ。

 そのすぐ目の前にあった自宅は、東日本大震災の津波で流された。11年3月11日、大きな揺れの後の大津波警報で、町職員の昌弘さんは前原地区を担当し、30軒ほど回って避難誘導した。家族4人は皆無事だったが、飼っていた子犬の鎖を外してやる余裕はなかった。避難所に逃げ、振り返ると、津波は地区を丸ごとのみ込んでいた。

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