
2011年に中東のアラブ諸国で起きた民主化要求運動「アラブの春」から今年で10年。この運動は、失敗だったのだろうか? 私は昨秋から、この問いを胸に現場で取材を重ねてきた。
長期独裁政権に対して市民が「ノー」の声を上げ、SNS(ネット交流サービス)の普及にも後押しされたデモは大きなうねりとなって、独裁者を倒していった。しかし、エジプトでは数年後に再び強権的な政権が生まれた。リビアとイエメン、シリアでは内戦が発生し、多くの人々が生命や財産を奪われ、故郷を追われた。唯一、民主化に成功したチュニジアでさえ深刻な経済難に直面している。
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