地域主体の復興10年 「ここで生きる」覚悟、制度と時間の壁
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津波にのまれた住宅地をどう再生させるのか。「地域主体の復興」が旗印となった東日本大震災の復興まちづくりで、土地をかさ上げしての宅地造成が大規模に進む一方、利用見込みのない空き地も数多く生まれた。専門家からは、人口減少の想定が不十分なまま行われた復興のあり方を問う声が上がる。【金森崇之、横見知佳、中尾卓英】
機能しなかった「住民主体」
「中心市街地では人口が6割減り、空洞化が進む。現実をしっかり見つめ、検証する必要がある」。1月、岩手県であった県内沿岸部の被災自治体による会議。大槌町の平野公三(こうぞう)町長は厳しい表情で、10年間の復興まちづくりを総括した。
首相の諮問機関「復興構想会議」は2011年5月に決めた「復興構想7原則」で、住民の意見をまちづくりに反映させる「地域主体の復興」を打ち出した。まちづくり会社は、その支援組織として提案された。
津波で家屋の半数以上が流失した大槌町も「住民主体の復興」を掲げた。震災の7カ月後、住民自身が復興計画を話し合う「地域復興協議会」を10地区に設置した。碇川豊・前町長は「住民合意がなければ復興は進まない。急がば回れの精神だった」と説明するものの、立ち上がりが遅かった。国の復興交付金の第1次申請に間に合わせるには、3カ月以内に復興計画を提出しなければならない。町中心部の「町方地区」で協議会長を務めた小向(こむかい)幹雄さん(85)は「多くの住民の考えを反映させたかったが、あまりにも時間がなかった」と不満を漏らす。
町はその後も意見の吸い上げに努めた。ただし、…
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