虐待繰り返されても「転院しない」 精神科患者家族の尽きぬ苦悩

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
入院患者への虐待事件が起きた神出病院=神戸市西区で2020年3月4日午前11時53分、本社ヘリから
入院患者への虐待事件が起きた神出病院=神戸市西区で2020年3月4日午前11時53分、本社ヘリから

 「精神科に入院する息子は職員から性的被害を受けていました。でも、まだ病院から、個別の説明や謝罪がありません」。神戸市郊外の住宅街で2021年1月、取材に応じた50代の女性はそう話した。警察の捜査を受けて病院が問題を把握してから1年が経過していた。

 神戸市西区の精神科病院「神出(かんで)病院」では20年3月、看護師ら6人による入院患者への性的虐待が発覚。トイレで水をかける暴行や患者同士で無理やりキスをさせるなどの行為が繰り返され、準強制わいせつや暴行、監禁などの罪で起訴された6人全員の有罪判決が同年10月までに確定した。

 だが、息子が被害に遭った女性は今も「なぜそんなことが起きたのか」という疑問を抱え続けている。病院が実施したとする「虐待調査」の結果はいまだ明らかにされず、抜本的な再発防止策も示されていない。

 「病院が事件にきちんと向き合う姿勢は感じられない」

 複数の入院患者の家族が取材に応じ、病院への不信を語った。

警察から見せられた息子の虐待場面

 20年4月、女性は自宅近くの交番に呼ばれ、警察官から1枚の写真を見せられた。重い脳炎を患い2年前から入院する30代の息子の顔が写っていた。わいせつ行為をさせられる動画の一場面で、…

この記事は有料記事です。

残り3190文字(全文3710文字)

あわせて読みたい

注目の特集