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コロナ禍と文化芸術 豊かさ守る支援足りない

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、文化芸術に携わる人々の困窮が長引いている。

 政府が最初のイベント自粛を要請してから1年が過ぎた。昨夏に公演や興行が徐々に再開され、客足が戻りかけてきたところに、2度目の緊急事態宣言が出された。

 施設の閉鎖や、公演や興行の中止までは求められていない。しかし、午後8時以降の不要不急の外出自粛が呼びかけられ、イベント開催も5000人以下かつ収容率50%以下に制限された。

 中止や延期に踏み切った団体も多い。実施の場合も、客席制限や夜公演の中止、開演時間の前倒しを余儀なくされ採算は取れない。

 ぴあ総研が昨秋発表した試算では、2020年のライブ・エンターテインメントの市場規模は、前年比8割減に縮小する見込みだ。

 公的支援は十分とはいえない。今年度の第3次補正予算でも250億円の公演支援などが計上された。だが、あくまでも公演や興行などを積極的に実施することが補助の前提になるとみられる。

 経費の立て替えが必要な仕組みとなれば、経済的に疲弊している団体は使えない。実態に即した支援になるよう検討してほしい。

 そもそも今、必要とされているのは苦境を支える給付型の支援ではないか。

 時短要請に応じた飲食店には協力金が支払われるが、「働きかけ」で自粛を強いられる文化芸術関係者には支払われないのも公平性を欠く。

 文化芸術関係者らで作る団体が先月、菅義偉首相や萩生田光一文部科学相らに質問状を出したが、文化庁からの回答は、不安や懸念に答えるようなものではなかった。文化芸術の危機に際し、政府がきちんとしたメッセージを出さないのは残念だ。

 人間の営みや、暮らしの豊かさに文化芸術は必要不可欠だ。コロナ禍で接する機会を失って初めて、かけがえのない価値に気づいた人も多いはずだ。ライブが困難な中、オンライン配信市場が急拡大しているのはその証しだ。

 文化芸術基本法は「心豊かな活力ある社会の形成にとって極めて重要」と掲げている。国は文化芸術を守る揺るぎない姿勢を見せてほしい。

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