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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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再生エネ普及阻む景観破壊 実現不透明な風力 行き詰まる太陽光

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「いいたてまでいな再エネ発電」=福島県川俣町で2020年5月29日午後6時18分、磯貝映奈撮影
「いいたてまでいな再エネ発電」=福島県川俣町で2020年5月29日午後6時18分、磯貝映奈撮影

 東京電力福島第1原発事故による負のイメージを拭う「再エネトップランナー」として、自然エネルギーの普及を掲げる福島県。洋上のみならず山間部でも風力発電計画があるが、景観を損ねるとの反対の声もあり、実現の可否は不透明だ。これに対し、同じ「再エネ」の太陽光発電は整備が進んできたが、ソーラーパネルの設置場所もなくなりつつあり、行き詰まりもみえる。【木下翔太郎、平塚裕介、磯貝映奈】

理解されない陸上風力

 福島市から南東へ約20キロに位置し、阿武隈山系に囲まれた自然豊かな川俣町。2016年以降、同町(避難指示解除は17年)を含めた6市町村の山間部で、福島県や国などが連携し「阿武隈北部風力発電」と仮称される大規模な風力発電計画が進んでいた。

 約1万4500ヘクタールに高さ150メートルの大型風車を約100基建設する計画で、最大出力は一般家庭約10万世帯分の約400メガワット。完成すれば県内最大級の風力発電となるため、県などが寄せる期待は大きかった。

 だが、予定地から2キロの範囲内に約2000戸の住宅などが点在し、騒音被害の恐れがあるとされた上に地元の反対もあり、今年1月に事業を大幅に縮小することになった。今後は「葛尾・風越(かざこし)風力発電(仮称)」として、浪江町と葛尾村の境に最大出力約20メガワットの大型風車5基を建設する方向だ。

 川俣町が計画の縮小によって対象外になったにもかかわらず、町民の一部は反対運動を続ける。その理由の一つに、隣の飯舘村が出資する民間会社「いいたてまでいな再エネ発電」(「までいな」は村の方言で「丁寧に」「大切な」の意味)が20年8月に設置した風車を巡るいきさつがある。村は景観への配慮を求める川俣町に対し「町からは見えない」と説明をしてきたが、実際は設置された風車が町内から丸見えだった。

 村が委託したコンサルタント会社がずさんな調査で「町内4カ所で計測したが、設置される風車が見えることはない」と結論づけたことが原因。建設工事は一時中断したが、両町村が「町民や環境に影響があったら、村が真摯(しんし)に対応する」との協定を結んだ上で同年9月から稼働している。川俣町の男性(68)は見えるはずがなかった風車を自宅で眺めながら「約束と違う。景色が悪いから取り壊してほしい」…

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