連載

特集ワイド

「人だかりがする」ニュースを目指して、読み応え十分の記事をラインアップ。

連載一覧

特集ワイド

イスラエル発 偏見から息子守る父描く 障害と自立、社会のあり方問う 映画監督 ニル・ベルグマンさん

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
ニル・ベルグマン監督(C)Spiro Films
ニル・ベルグマン監督(C)Spiro Films

 発達障害を持つ息子のため、自身のキャリアを捨てて生きる道を選んだ父。親子の結び付きを通して、障害者の自立と社会のあり方について考えさせてくれる映画「旅立つ息子へ」が、3月26日からTOHOシネマズシャンテ(東京)ほか全国で公開される。実話をもとに生まれたこの作品について、イスラエル在住のニル・ベルグマン監督にリモートインタビューした。

 映画は、親子二人が家に向かう鉄道の場面で幕を開ける。他人とのコミュニケーションに困難を抱える発達障害の一種「自閉症スペクトラム」の青年ウリと、彼を支える父アハロン。車窓には目の覚めるような美しい海岸線が輝いている。列車内でお気に入りのチャプリンの映画を携帯端末で見ていたウリ。目の前に座った男性乗客が、一般的な若者と明らかに違うウリのふるまいを目にして、黙って席を離れていく――。父に愛情と信頼を寄せる息子と、そんな息子を社会の偏見や差別から守ろうとする父の姿が描かれる。

 この親子は、脚本家のダナ・イディシスさん自身の弟と父親がモデルになっている。ウリと同様の障害を持つ弟と父親の別れに思いを巡らせたことが着想のもとになったという。イディシスさんとの共同作業で約6年にわたって脚本を練り上げてきたベルグマン監督は、「ダナにとっても私にとっても、非常に個人的な映画だといえます。個人的な内容を描く場合には、キャラクター個人の心理や内面を描くと同時に、物語から適切な距離を保つことが必要です。この作品でダナは、甘さとほろ苦さ、そしてユーモアを込めて描いていると思います」と話す。

 映画で、父アハロンはウリと二人だけの暮らしに心の安定を得ている。だが、別居中の妻タマラはそんな息子の将来を案じて、全寮制施設への入所手続きを進めていく。

 人気のグラフィックデザイナーだったにもかかわらず、息子のために仕事を捨てたアハロン。父親として安定した収入を持っていないことなどを理由に、裁判所はウリに入所するよう命じる決定を出す。だが、施設に向かう道中の駅のホームで、父との別れに直面したウリは…

この記事は有料記事です。

残り1609文字(全文2468文字)

あわせて読みたい

注目の特集