連載

余録

毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

連載一覧

余録

「本多侯はとかく賄賂をとられる…

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷

 「本多侯(ほんだこう)はとかく賄賂(わいろ)をとられる……侯は取り入りやすいので、色々な人が出入りして気安くなっているよし」。江戸時代の風聞書「よしの冊子」の一節で、幕府の若年寄・本多忠籌(ただかず)についての評判という▲この風聞書、老中・松(まつ)平(だいら)定信(さだのぶ)の側近が隠密(おんみつ)などを使って集めた幕府の役人のうわさなどが記されている。忠籌は寛政の改革で定信の右腕だったが、やがて立った悪い評判もちゃんと報告されていた(山本博文(やまもと・ひろふみ)著「武士の人事評価」)▲官房長官時代から幹部官僚の行状ににらみをきかせた菅義偉(すが・よしひで)首相の役人操縦を、これまで何度か定信の「よしの冊子」ばりと評した小欄である。ならば自らが重用した総務省の役人たちの接待漬けを知っていたのか知らなかったのか▲首相長男の勤める放送事業会社、東北新社の接待で処分者多数が出た総務省で、今度はNTTによる高額接待疑惑が明るみに出た。週刊文春は谷脇康彦(たにわき・やすひこ)総務審議官や当時同審議官だった山田真貴子(やまだ・まきこ)前内閣広報官らの参加を報じている▲うち谷脇審議官はNTT側との会食があったことは認めたが、省内の調査を理由に詳細な説明は避けた。すでに東北新社による接待で懲戒処分を受けている谷脇氏は、他には倫理規程違反の会食はしていないと国会で答弁をしていた▲政権が掲げる携帯料金値下げの推進役を務めてきた谷脇審議官だという。長男の会社の接待に続き、今度は政権の目玉政策の舞台裏での高額接待である。江戸時代ではあるまいし、ここは首相の説明がほしい。

あわせて読みたい

注目の特集