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金言

欧州総局長、外信部長などを歴任した小倉孝保論説委員のコラム。

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173年後の恩返し=小倉孝保

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英国とアイルランド
英国とアイルランド

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 日本人は第二次世界大戦で歴史を区切り、「戦前」や「戦後」を意識する。アイルランドでは、「ジャガイモ飢饉(ききん)(1845~49年)」を近現代史の境に据える。約100万人が餓死し、人口の2割近くが米国などへ移住した。バイデン米大統領の祖先も飢饉直後、アイルランドを離れている。

 当時、ジャガイモの疾病でアイルランドは極度の食料不足に陥っていた。それでも英政府はアイルランドから英本土などに、農作物が送られるのを止めなかった。19世紀初め、アイルランドは英国に併合され、農地の多くを英貴族が所有していた。

 このときアイルランド支援に立ち上がった中に、米国の先住民チョクトーの人々がいた。飢餓の報を受けるや47年、集会を開いて支援を決め、170ドルを送っている。彼らはその約15年前、他の先住民と共に故郷ミシシッピを追われ、オクラホマまでおよそ1000キロを徒歩や馬車で移動させられた。「涙の道」と呼ばれるこの強制移住では、飢餓や病気のため3割近くが命を落としている。

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