国家戦略でも習カラー 内憂外患に直面、一党独裁体制に危機感

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
北京の人民大会堂で開会した全人代に臨む習近平国家主席(左)と李克強首相=5日、AP
北京の人民大会堂で開会した全人代に臨む習近平国家主席(左)と李克強首相=5日、AP

 5日の全国人民代表大会(全人代=国会)で公表された国家戦略「新5カ年計画と2035年までの長期目標」は、経済や環境、国防と並び「安全」にも重点を置いた。習近平国家主席は20年12月の会合で中国共産党と国家の事業の大局において「国家の安全の位置付けを際立たせた」と述べており、国家戦略でも習カラーを打ち出した形だ。米国との対立など内憂外患に直面する中、一党独裁体制を取り巻く環境への危機感の表れと言える。

 習氏は「総体的国家安全観」を掲げ、安全保障分野を軍事だけでなくあらゆる分野に拡大し、社会統制を強化してきた。

 背景には21年7月に創立100年を迎える共産党の強烈な防衛本能がある。過去には新中国建国を成し遂げ、国力を飛躍的に増大させた。だが現在、経済成長は鈍化し、少子高齢化など新たな課題も抱える。米国との覇権争いも激化しており、選挙を経ていない習指導部は、中国を統治する「正統性」の危うさを強く意識している。

 今回の国家戦略でも「必ず守るべき原則」の筆頭に「党の全面的な指導の堅持」を挙げ、一党独裁体制の「安全」が最優先事項とされた。

 習氏を頂点とする中央集権体制によって「政権、政治制度の安全を守り、敵対勢力の浸透、破壊、分裂活動を打撃する」と主張。習指導部は、欧米主要国が人権や民主主義の価値観を掲げ、香港や新疆ウイグル自治区の問題に介入する動きを警戒しており、香港国家安全維持法などの法整備やインターネット規制により徹底抗戦する姿勢を示した。

 さらに、「智能化」として人工知能(AI)などの先端技術による治安対策を打ち出した。習氏は「潜在的な危険を初期段階で発見、処理する」よう指示しており、公安部門はビッグデータを活用した治安システムの構築を推進。携帯電話やネット情報を駆使した国民監視は、新型コロナウイルスの封じ込めにも活用された。中国の宣伝部門は「我が国の政治制度の優位性」を示したとしていた。

この記事は有料記事です。

残り1538文字(全文2345文字)

あわせて読みたい

この記事の筆者
すべて見る

注目の特集