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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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震災10年、ようやく正職員に その道のりで長崎の子供に誓った夢

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震災から10年。神奈川県で正規職員の仕事に就いた小野寺聡さん=神奈川県横須賀市稲岡町で2021年2月13日、佐野格撮影
震災から10年。神奈川県で正規職員の仕事に就いた小野寺聡さん=神奈川県横須賀市稲岡町で2021年2月13日、佐野格撮影

 津波の濁流が街を覆い、海水が校舎の2階付近まで押し寄せた、あの日の夜。暗闇の中、水平線の上に所々で炎が上がっていた。耳には児童たちの泣き叫ぶ声がこだまする――。

生きるのに精いっぱいだった10年間

 神奈川県横須賀市の県職員、小野寺聡さん(45)は2011年3月11日、被災した宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)小学校の屋上で見た光景を今でも夢に見る。震災後は小学校講師や自治体の任期付き職員など非正規の職を転々とする不安定な暮らしが続いた。「この10年は生きるのに精いっぱいだった。やっと地に足がついた気がします」。ふるさとから遠く離れた港町で、人生の再スタートを踏み出している。

 今年2月の休日、横須賀市の観光スポット・三笠公園には家族連れやカップルの姿が目立った。小野寺さんは海辺に目をやり、つぶやいた。「なんだかんだ言っても、やっぱり海を見ると落ち着くんですよね」。子供の頃に過ごした宮城の七ケ浜、被災後に生きる希望を感じさせてくれた長崎、そして、横須賀。思えばどこもそばに海があった。

 宮城県で生まれ育ち、宮城教育大を卒業したが、時代は「就職氷河期」だった…

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