特集

東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

特集一覧

コロナ禍で「女性が追い詰められた理由」 精神科医・斎藤環さん

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
精神科医の斎藤環さん=2015年7月8日、猪飼健史撮影
精神科医の斎藤環さん=2015年7月8日、猪飼健史撮影

 パンデミックの渦中で「東日本大震災10年」を迎える。私たちは大震災に何を学んだのか。それはコロナ禍で生かされているのだろうか。女性がコロナ禍で追い詰められたのはなぜなのか。被災地である岩手県出身で、精神科医の斎藤環・筑波大教授(59)のインタビューを2回にわたって紹介する。【聞き手・小国綾子/オピニオングループ】

深刻なはさみ状格差

 ――コロナ禍で、東日本大震災を思い出した人は少なくありません。店からトイレットペーパーが消えた光景に震災直後の物資不足を思ったり、新型コロナウイルス感染者への差別に福島からの避難民への差別を思ったり。斎藤さんはどうでしたか?

 ◆東日本大震災もコロナ禍も、人間関係に大きな変化を起こした。その点が似ていると感じました。どちらの災厄でも、関係性がより親密になる家族があった一方で、虐待やドメスティックバイオレンス(DV)が増えた家族もありました。より親密になる家族と破綻していく家族とに両極化したわけです。

 いわゆる「はさみ状格差」です。災害を受け止める人々の心理的な落差が、もともとの経済状況や家族関係などによって、時間とともにはさみを開くように広がってしまう。精神科医の中井久夫さんが阪神大震災の時に指摘しました。

 阪神大震災の時も、東日本大震災の時も、時間がたつにつれて、被災者の間では生活再建に向けて意欲的になる方と、ますます落ち込んでいく方の心理的な差が顕著になっていきました。

女性の自殺率上昇はなぜか

 ――もともとあった格差が拡大し、より弱い人が追い詰められたわけですね。

 ◆しかも、コロナ禍では「ステイホーム」が叫ばれ、家族が多くを担わされました。それが虐待やDVの増加につながったのでしょう。

 また、コロナ禍のメンタルヘルス関連で最も深刻なのは女性の自殺の増加です。…

この記事は有料記事です。

残り3170文字(全文3927文字)

【東日本大震災】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

注目の特集