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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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基幹の「水産業」回復目指した10年、浮き彫りになる地域間格差

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グループ補助金を活用して再建された水産加工の工場群=宮城県石巻市の石巻港付近で2021年2月25日午前11時17分、深津誠撮影
グループ補助金を活用して再建された水産加工の工場群=宮城県石巻市の石巻港付近で2021年2月25日午前11時17分、深津誠撮影

 甚大な被害を受けた東北沿岸部の基幹産業、水産・水産加工業をどう復活させるのか。首相の諮問機関「復興構想会議」は、被災地と日本経済を同時進行で回復させることを目指した。だが10年後の今、被災地では経済再生の地域間格差も浮き彫りとなっている。【深津誠、菊池陽南子】

抱負語る「サラリーマン漁師」

 「漁師になるのが夢だった。この桃浦(もものうら)でスキルを身に付けたい」

 宮城県石巻市桃浦地区のカキ養殖会社「桃浦かき生産者合同会社」で働く若手漁師の一人、嘉登(かと)清春さん(23)は抱負を語る。宮城県の水産高2年の時に実習で合同会社を訪れた縁で、2016年4月に入社した。合同会社の漁師は、月給を受け取る「サラリーマン漁師」。交代で休みも取れる。嘉登さんは「一人親方として経営を考える独立した漁師よりも、会社員として働く方が気に入っている」という。

 桃浦地区が「水産業復興特区」に指定され、合同会社は地区での漁業権を得た。漁業法は、魚を独占的に取る権利である漁業権を地元漁協に優先的に与えるとしてきた。特区ではこの原則が適用されず、民間企業も得られる。合同会社の設立には仙台市の水産商社「仙台水産」が協力した。スーパーやデパートの販路が確保され、「桃浦かき」とブランド化した商品を販売している。県の補助金も投じられ、2億円のカキの殻むき機も導入された。殻むき担当を含め、従業員は約40人。生産額は、漁師15人でやっていた震災前の1億9400万円から3億円へ増大させる計画だった。

 だが、養殖用いかだの数を思うように増やせず、…

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【東日本大震災】

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