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五輪海外客見送りへ 今後も安全優先の判断を

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 東京オリンピック・パラリンピックは、海外客の受け入れが見送られることになりそうだ。

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長や大会組織委員会の橋本聖子会長ら関係機関代表者による協議で認識が一致した。聖火リレーが始まる今月末までに正式決定する。

 100万人規模の海外客が入国すれば、新型コロナウイルスの感染がさらに広がり、変異ウイルスが持ち込まれる可能性もある。

 五輪は本来、世界中の人々が友好を深める場となる。だが、現状を考えれば、海外客見送りの判断は妥当だ。

 政府には海外客による観光需要を景気回復のきっかけにしたい思惑があったのだろう。しかし、感染収束のめどは立たず、判断が先送りされてきた。

 2月の共同通信の世論調査では今夏の開催を求める意見は14・5%にとどまり、ボランティアや聖火ランナーの辞退も相次いでいる。英紙が「中止する時が来た」とするコラムを掲載するなど、海外にも厳しい見方がある。

 海外客見送りには、国内外の不安を払拭(ふっしょく)し、開催への支持を回復したい狙いもあるようだ。

 受け入れ断念が決まれば、次の課題は国内の観客制限に移る。こちらは国内スポーツの状況を参考に4月末までに決定する予定だ。

 現在、観客数は緊急事態宣言の対象地域では「上限5000人」か「収容率50%以下」の少ない方と決められている。宣言が解除されても、一定の観客制限は避けられないだろう。

 今後の感染状況次第では、無観客開催の決断を迫られることも考えられる。

 観客を大幅に減らせば、チケット購入者を再抽選で絞り込み、外れた人には払い戻す必要が出てくる。チケット収入の減少だけでなく、警備やボランティア、輸送、宿泊など計画の修正も求められる。だが、時間は限られている。

 数万人に及ぶ選手や役員、メディア関係者らの感染防止策も細部を詰めなければならない。

 観客問題も含めた今後の対応について、橋本会長は「科学的知見も踏まえ、丁寧に決めていく」と話す。これからも社会の安全を優先して判断していく必要がある。

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