親中国のパキスタンが米国に近づく思惑 対立にらみ交渉カードに

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アフガニスタンの首都カブールで爆破された車を調べる人々。米国はパキスタンにアフガン和平への関与を求めている=2021年2月2日、AP
アフガニスタンの首都カブールで爆破された車を調べる人々。米国はパキスタンにアフガン和平への関与を求めている=2021年2月2日、AP

 中東とアジアを結ぶ要衝であるパキスタン。カシミール地方の領有権を巡ってインドと長年対立する一方、インドと国境問題を抱える中国とは極めて友好的な関係を築いてきた。だが、米中対立が激しさを増す中、パキスタンが米国とも関係強化に乗り出すとの見方が出ている。バイデン米政権や中国との関係について、パキスタンの政治・外交に詳しい防衛研究所の栗田真広研究員に聞いた。【聞き手・松井聡】

 --バイデン米政権はパキスタンにどのような対応を取るのでしょうか。

 ◆バイデン政権は、アフガニスタンからの駐留米軍削減と和平の実現に向けて、トランプ前政権に引き続き、「アメとムチ」の両方を使いながら、旧支配勢力タリバンに影響力を持つパキスタンの和平への関与を引き出していくものと思われます。ただ、トランプ政権下での米・タリバン合意を前提にした和平の先行きには、相当な不透明感が漂っています。バイデン政権が合意の再検証を行う中で、米国とパキスタンがアフガン政策を巡って相互非難のスパイラルに陥らず、協調を維持していけるのかが最大の焦点です。

 一方、米国にとって、対パキスタン関係はアフガン問題だけで進められるものではなくなっています。パキスタンに関しては、長らく米中の利害が直接衝突する面が少なかったのですが、グローバルな米中の競争が激化する中、2019年後半から、トランプ前政権は米中対立をパキスタンにも波及させる姿勢を見せるようになりました。「中国パキスタン経済回廊」(略称CPEC。中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」の主要事業)について、「(事業での)中国による貸し付けは略奪的」「債務外交の実例」「透明性に欠ける」などと批判しています。まずは、バイデン政権がこのトレンドを引き継ぐかどうかが注目されます。

 パキスタンは長年にわたり中国と密接な関係にあり、「米中間で米国寄り」のパキスタンはもはや実現不可能ですが、「中国の意のままに動くパキスタン」は、地政学的な見地から鑑みて米国にとっては受け入れがたいはずです。バイデン政権がどこまで本腰を入れてパキスタンに関与していくのかが問われます。しかし、…

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