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広がる銀行口座手数料 サービス向上が大前提だ

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 銀行が預金口座の管理に手数料を課す動きが広がっている。

 超低金利で収益が悪化し、経営効率化を迫られているためだ。だが、業績不振の影響を顧客に転嫁するだけでは理解は得られない。

 みずほ銀行は1月から新規口座開設者が紙の通帳を希望する場合、1冊1100円の手数料を徴収している。三井住友銀行も4月から年550円の手数料を取る。ただ、いずれも高齢者には無料で提供するという。

 紙の通帳には紙代や印刷代のほか、印紙税がかかる。メガバンク1行当たりの負担額は年数十億円にのぼる。発行手数料の導入は、デジタル通帳への移行を促す狙いがある。

 一方、三菱UFJ銀行は「休眠口座」に管理手数料を導入する方針だ。7月以降開設される口座に対し、2年以上入出金がなければ、年1320円を徴収する。預金残高がこの額を下回れば、口座は解約される。地銀や信金ではすでに実施しているところもある。

 マネーロンダリング(資金洗浄)対策では「休眠口座」のチェックが必要だ。その手間を省く狙いもあるのだろう。

 近年は小銭の両替も一定枚数以上になると、手数料がかかるなど、銀行サービスの有料化が相次いでいる。預金しても利息がほとんど付かない中で、顧客の負担感は大きい。

 日本の銀行は欧米と異なり口座管理に手数料を取ってこなかった。一方で、振込手数料が割高だと批判されてきた。口座管理の有料化に踏み込むなら、振込手数料を引き下げるべきだ。

 各行は金融サービスのデジタル化を進めて経営効率化と顧客の利便性の両立を図るとアピールしている。

 だが、先日のみずほ銀のシステム障害では、現金自動受払機(ATM)に加え、インターネットバンキングも使えなくなった。ネット操作に不慣れな高齢者もおり、性急なデジタル化は顧客本位とは言えない。個人情報漏えいなどセキュリティーの不安も根強い。

 金融インフラを担う責任は重い。効率化を最優先してサービスの質を落とすことは許されない。デジタル化を進めるにしても安全性や利便性の向上が大前提だ。

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