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ミャンマーでの弾圧激化 国軍止める国際的圧力を

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 ミャンマー国軍による市民弾圧が激しさを増している。

 クーデターへの抗議デモに参加した多くの若者が命を落とした。逃げ惑う人々に向け、警官が銃を水平に撃つ映像が世界に広がった。負傷者を運ぶ救急隊員まで警官隊に暴行を加えられた。

 一刻も早く、弾圧をやめさせなければならない。

 欧州連合(EU)は非武装の市民への銃撃を「明確な国際法違反だ」と非難した。国連の人権高等弁務官は、デモ参加者の「殺害」をやめるよう要求した。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議でも、シンガポールなどがクーデターを認めない立場を表明した。議長声明はミャンマー情勢への「懸念」表明にとどまったが、内政不干渉が原則のASEANとしては異例の厳しさだ。

 国連の事務総長特使は、安全保障理事会に「非常に強い手段」を取るよう求めた。5日の非公開会合後にオンラインで記者会見した英国大使は、暴力を非難し、国軍の姿勢を改めさせるために安保理が結束する必要性を強調した。国軍への非難を避けている中国とロシアは、惨状を直視すべきだ。

 ミャンマー国内では、最大都市ヤンゴンの警察幹部がクーデターに抗議して辞職した。現地メディアによると、デモ弾圧の命令を拒否して不服従運動に身を投じた警官は100人を超えるという。外国に駐在する外交官の間でも同調する動きが広まっている。

 弾圧によって事態を収拾させられないことは明らかだ。国民の反発や不満を力で抑え込めた時代とは違う。国軍は、その点を見誤っている。

 このままでは国際的孤立を深め、国内の混乱が長引くだけだ。そうした状況の長期化は、誰にも望ましい結果をもたらさない。

 国軍の中国接近を懸念する声もあるが、混乱の継続は中国にとっても好ましくないはずだ。そもそも中国は、アウンサンスーチー氏とも良好な関係を築いてきた。

 地政学的な要衝であるミャンマーの安定は中国だけでなく、インドやASEANにとっても重要だ。日本はこうした国々と協力して、弾圧を即時停止するよう国軍への働きかけを強めなければならない。

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