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東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の記録をどう残し、教訓をいかに後世へ伝えていくのか。首相の諮問機関「復興構想会議」も真っ先に取り上げたテーマだ。震災後、各地で伝承施設の整備が進んでいるが、「失敗例」を伝えることの難しさも浮かぶ。【高橋隆輔、竹内良和】
「東電も行政も、自分の失敗は言いたくない」
「光もあれば影もあります。事故のこと、復興のこと、これからの未来のこと。この場所で皆さんと一緒に考えることができたら」
「東日本大震災・原子力災害伝承館」(福島県双葉町)に入ると、福島出身の俳優・西田敏行さんのナレーションに合わせ、原発事故や津波の映像が流れるシアターに通される。展示は5部構成。原発事故の原因や対処は「災害の始まり」「原子力発電所事故直後の対応」の二つで説明されるが、県が原発誘致を主導したことは記されていない。第1原発内で津波が届かない高台に非常用電源を置かなかったことなど、事故の具体的原因もほとんど書かれていない。
県が資料収集を本格化させたのは、震災発生から4年後。発生直後は原発事故に伴う立ち入り制限区域が今よりも広く、収集が難しかったためにスタートが遅れた。一方、県の有識者会議は2015年、伝承館の基本構想で、「復興した姿を世界に発信する」とうたう20年東京オリンピック・パラリンピックに開館時期を合わせるべきだと指摘した。伝承館の瀬戸真之学芸員は「時間がなく、県がストーリーを描くのと同時並行で資料収集を進めざるを得なかった」と明かす。「展示のプロ」の学芸員は収集に追われ、県生涯学習課が展示の原案を作った。
毎日新聞が情報公開請求で入手した県の内部資料では、原子力を所管する各部署が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)への記述に神経をとがらせていた様子が分かる。その一つが、第1原発から出た放射性物質の飛散実態を解析した映像だ。生涯学習課が展示案の検討資料で「発災時に活用できなかったSPEEDIと同様のシミュレーション」と説明すると、「取り扱いは…
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