米の極右に利用された「カエル」 実像取り戻す闘いを追った映画

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ドキュメンタリー映画「フィールズ・グッド・マン」のアーサー・ジョーンズ監督(右)とプロデューサーのジョルジオ・アンジェリーニ氏=米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで2021年2月16日、福永方人撮影
ドキュメンタリー映画「フィールズ・グッド・マン」のアーサー・ジョーンズ監督(右)とプロデューサーのジョルジオ・アンジェリーニ氏=米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで2021年2月16日、福永方人撮影

 もし自分が生み出したキャラクターが差別主義者のシンボルにされたら――。漫画の主人公、カエルの「ペペ」がトランプ前大統領の支持者らに利用される実情を追った米国のドキュメンタリー映画「フィールズ・グッド・マン」が12日から日本で公開される。米社会の闇を描いた話題作に込めた作り手の思いとは?【ロサンゼルス福永方人】

 ペペのTシャツやかぶり物の映像は、年明け早々にも世界中を駆け巡った。1月6日、米連邦議会議事堂にトランプ氏の支持者が乱入した事件。現場ではこうしたペペのグッズを身に着けた人々が散見されたのだ。アロハシャツを着てライフル銃で武装する極右過激派「ブーガルー」も、ロゴマークにペペをあしらう。

 ペペは元々、米西部ロサンゼルスの漫画家、マット・フューリー氏の作品「ボーイズ・クラブ」に登場する緩くてお気楽なキャラだった。だが2010年ごろから「気持ちいいぜ」という意味のペペのセリフ「フィールズ・グッド・マン(Feels good man)」がインターネット上で流行してからミーム(笑いを誘う画像)と化し、暴走を始める。平易な造形のためか、無断で表情を描き替えられたペペがネットの匿名掲示板「4chan」に投稿され、次第にナチスのシンボルが顔中に描かれるなど、人種差別的なメッセージに使われるようになった。

 15年6月、トランプ氏が大統領選出馬を表明すると、似たような髪形をしたペペの投稿が相次ぐ。ペペは支持者をつなぐアイコンとなり、トランプ氏も自身とペペの合成画像をツイッターでリツイート(拡散)。新興右翼「オルト・ライト」もペペを使用し、差別思想や陰謀論をばらまいた。ペペの拡散は政治に無関心な層も巻き込み、トランプ氏の当選に一役買ったといわれている。

 映画はこうした経緯や、ペペの本来のイメージを取り戻そうとするフューリー氏の闘いをアニメも交えて描き、20年の米サンダンス映画祭で審査員特別賞新人賞を受賞した。

 この作品の監督が、…

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