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あした元気になあれ

小国綾子記者の「元気」を追いかけるコラム。

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あした元気になあれ

「あの日から」を生きる=小国綾子

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長谷川義史さんの絵「野球少年」。長谷川さんは震災から約3カ月後、宮城県石巻市を訪れた。この時、自分の家の屋根に乗って、お父さんと一緒に津波に流されたと語る野球少年に出会った。少年はその後も野球を続け、2018年の夏に甲子園に出場したという
長谷川義史さんの絵「野球少年」。長谷川さんは震災から約3カ月後、宮城県石巻市を訪れた。この時、自分の家の屋根に乗って、お父さんと一緒に津波に流されたと語る野球少年に出会った。少年はその後も野球を続け、2018年の夏に甲子園に出場したという

 「あの日からの或る日の絵とことば」という本を読んだ。荒井良二さんや長谷川義史さんら絵本作家32人が東日本大震災の記憶や思いを絵にし、短いエッセーを添えている。2年前に出版された。

 個性的な絵の数々に心を奪われた。次に文章がじわじわときた。地震の記憶や原発事故後の「人間はちいさな生き物だ」という実感。大切な子どもや友人や飼い猫のこと。「あれから僕はずっと絵に逃げ続けている」とつづった人、当時描いていた絵本の波立つ海の絵をどうやって描き切ったのか思い出せない、と明かした人もいる。

 読み終えた時、「あなたも語っていいよ」と背中をなでられた気がしたのは、なぜだろう?

 本を編んだ絵本編集者、筒井大介さんはこう書いている。<被災者とは言えない、でも何も被っていないとは言えない、どちらでもない人々の物語から見えてくるものがあるのではないか>。だからごく個人的な、ささいな…

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