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第3回全国高校eスポーツ選手権

eスポーツを楽しむ高校生を応援し、文化として発展させていくことをテーマに開催される「全国高校eスポーツ選手権」の特集ページです。

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第3回全国高校eスポーツ選手権 13、14日に決勝大会 この興奮、届け

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「リーグ・オブ・レジェンド」部門で優勝して喜ぶN高(沖縄)の井上瑞貴さん(中央右)ら=東京都渋谷区で2019年12月29日、丸山博撮影
「リーグ・オブ・レジェンド」部門で優勝して喜ぶN高(沖縄)の井上瑞貴さん(中央右)ら=東京都渋谷区で2019年12月29日、丸山博撮影

 <ALL JAPAN HIGHSCHOOL esports>

 対戦型コンピューターゲームの高校日本一を決める「第3回全国高校eスポーツ選手権」(毎日新聞社、一般社団法人全国高等学校eスポーツ連盟主催、サードウェーブ共催)の決勝大会が13、14日に開催される。今大会も、3人対3人で対戦するサッカーゲーム「ロケットリーグ(RL)」、5人対5人で対決する陣取りゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」の2部門で、予選を勝ち抜いた計8チームが決勝大会で頂点を目指す。【杉本修作】

「強豪」N高、3チーム登場

 決勝大会に進んだ2部門計8チームのうち、実に3チームがN高(沖縄)だ。前回の第2回選手権のLoL部門で初優勝を飾り、連覇がかかるN高のチーム「KDG N1」の主将で「まりも」のプレーヤーネームを持つ3年の井上瑞貴さんは「優勝者として卒業したい。優勝の栄誉を誰にも渡したくない」と意気込んだが、こう本音も漏らした。「決勝大会は正直、怖い。本番では練習でやらないミスをすることもある」

 第2回選手権までは、無心に優勝を狙うだけでよかった。しかし、前回の優勝で追われる立場に一変。練習をすれば、課題が見つかる日々。勝ち続けなければならないという重圧からか、課題を克服できないと焦りが目立つようになった。時にはメンバーの意見が異なり、言い争いが起こることもあった。

 予選で、井上さんらメンバーは極度の緊張で胃が痛んだ。それを乗り越えるため、さらに練習を重ねた。その結果、今は「完成されたチームに近づきつつある」と自信を深めている。

 N高でLoL部門の決勝大会に進出したもう一つのチームが、主将の「Calamity」こと原朱里(しゅり)さん(3年)率いる「Team No Plan」だ。原さんは、自身のチームカラーについても、チーム名同様、「無計画」と言う。強豪校を破っての予選突破にも「たまたまうまくいっただけ。うちはマイペースなチーム」と冷静だ。ただ、その控えめな発言とは裏腹に、原さんは昨年、公立校からeスポーツの強豪校のN高に転校するほどeスポーツにかける思いは強い。「LoLはスポーツと同じ。5人が勝利に向かって一つになるところが魅力」と語る。

 決勝大会のライバルとみているのは、「KDG N1」。原さんは「個々の力は劣るかもしれないが、番狂わせは起きる。『KDG N1』を倒して優勝したい」と言葉に力を込めた。

プレーでファン増やしたい

 RL部門でもN高はチーム「NRLG Cats」が勝ち残っている。予選では、同じN高の「NRLG Cows」と熱戦を繰り広げ、振り切った。

 日ごろから練習試合を重ねてきた2チーム。試合前、顧問の菊川大祐教諭は各チームの選手たちに「後から大会を振り返って、『この試合が事実上の決勝だった』と言われるような試合にしよう」と声をかけた。

 序盤は互いに一歩も譲らない。Catsの絶妙なシュートをCowsがコースを予測して防ぐ。ともに相手の実力を知り尽くしており、先を読んだプレーが続いた。延長戦にもつれ、Catsが接戦をものにした。

 Cowsの思いも背負って決勝大会に臨むCats。優勝はもちろん、自分たちのプレーでRLファンを一人でも増やしたいと考えている。菊川教諭は「今大会を通じて、高校生のeスポーツ全体を盛り上げるような試合をしていきたい」と意気込みを口にした。

「台風の目」狙う ルネサンス高

大会協賛社の日清食品から提供された参加賞のカップヌードルを手に勝利を誓うルネサンス高「野菜鶏レモン味」のメンバー=東京都渋谷区で、2021年2月24日午後4時14分、杉本修作撮影 拡大
大会協賛社の日清食品から提供された参加賞のカップヌードルを手に勝利を誓うルネサンス高「野菜鶏レモン味」のメンバー=東京都渋谷区で、2021年2月24日午後4時14分、杉本修作撮影

 LoL部門の決勝大会を戦うルネサンス高(東京)の選抜チーム「野菜鶏レモン味」。主将の「ごっとふぃすと」こと武安克典さん(3年)は「野球と同じように4番打者ばかりそろえても試合には勝てない」と、個々のメンバーが役割を十分に認識するよう努め、予選ではスムーズな連携で勝利をつかんだ。

 決勝大会には、N高の「KDG N1」など実力あるチームが名を連ねている。武安さんらは勝つためには「弱気にならないことが重要だ」と考えている。

 LoLは一旦受け身になると、相手からどんどん攻められるゲーム。だから、先に仕掛けて強気に攻め続けることが勝利に欠かせない。「決勝を楽しめればいい」と謙虚に語る5人だが、チームワークを武器に台風の目になれるか――。

 ◆大会展望

技術伝承、レベル上がる

ValtaNさん 拡大
ValtaNさん

 強豪が出そろい、混戦模様の決勝大会。RL、LoLに詳しい2人の専門家に見どころなどを聞いた。

 RLでアナリストを務める「ValtaN(バルタン)」こと塚本笙(しょう)さんは「RLはどのチームにも優勝する可能性がある」とみている。

 第1試合に登場するN高は他チームが優勝候補に挙げるほどの実力で、塚本さんも「3人の個人技が高く、攻撃が止まることがない」と高く評価。ただ、対戦する釧路高専(北海道)も「空中でのパスプレーなど、連携が見事」と話し、「少しの実力差など簡単にひっくり返るのがこの競技の魅力。どちらが勝つかは分からない」と接戦を予想した。

 第2試合に姿を現す大阪府立大高専には、高い技術を誇るリーダーの多胡和馬さん(3年)がいる。塚本さんは「経験豊富な多胡選手がチームを引っ張り、他の2選手も力をつけてきている」と分析。相手の東海大札幌高については「予選大会決勝で逆転勝ちしており、序盤の劣勢を逆転する精神力が決勝大会でも生きてくる」と語った。

Revolさん 拡大
Revolさん

 LoLは決勝大会に進んだ4チームのうち、2チームがN高だ。第1試合はN高同士の対決となり「互いに相手の特徴を知っている関係。相手選手の対策も十分で、熱戦が予想される」と、LoL解説者の「Revol(レボル)」こと柿崎亮介さん。

 連覇を狙う「KDG N1」には前回大会を経験している3年生3人に加え、新たに3、1年生の2人がメンバーに名を連ねる。柿崎さんは「どこからでも勝てる、隙(すき)がないチーム」と評した。一方、「Team No Plan」は主将の原朱里さん(3年)を中心にチーム力が高く、「『KDG N1』のレベルは高いが『Team No Plan』が裏をかくような作戦をすれば好機はある」と言う。

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 第2試合のアートカレッジ神戸とルネサンス高はともに初の決勝大会の舞台となるため、予選とは異なる重圧に勝てるかがポイントだ。「LoLは精神面が試合に作用する。気持ちの落ち込みが試合に影響することがプロの世界でもある」と柿崎さんは指摘する。

 選手権は今回が3度目の大会となった。塚本さんは「回数を重ね、恐ろしいほど実力が上がっている。部活として、各校が技術を先輩から後輩へと伝えている成果だ」とし、柿崎さんもこう期待した。「回数を重ねて大会全体のレベルが上がり、プロチームに所属する選手まで出ている。初心者にもLoLを知ってもらういい大会になる」


日本一目指し、194校エントリー

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 eスポーツの高校日本一を競う全国高校eスポーツ選手権の決勝大会を13、14日に行います。競技は、3対3で対戦するサッカーゲーム「ロケットリーグ(RL)」、5対5で互いの陣地を取り合う「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」の2部門で実施し、計194校346チームがエントリー。予選を勝ち抜いた計8チームがトーナメントで頂点を目指します。

 新型コロナウイルス感染症対策のため、決勝大会は無観客で、各チームが在籍する学校の近くなどに特設会場を設けてオンラインで対戦します。試合の模様は「毎日新聞デジタル」などで生配信されます。

 <日程>RL部門=13日(土)正午開始▽LoL部門=14日(日)午前11時開始

 <出場チーム>RL部門=N高(沖縄)、大阪府立大高専(大阪)、釧路高専(北海道)、東海大札幌高(同)▽LoL部門=N高「KDG N1」(沖縄)、アートカレッジ神戸「アートカレッジ神戸A」(兵庫)、ルネサンス高「野菜鶏レモン味」(東京)、N高「Team No Plan」(沖縄)

 <主催>毎日新聞社、一般社団法人全国高等学校eスポーツ連盟

 <共催>サードウェーブ


 ■ことば

ロケットリーグ

 1チーム3人ずつで対戦するサッカーゲームで、ジャンプや飛行が可能な車両を操作してゴールを狙う。第3回選手権では、1ゲームを5分間で実施。同点の場合は延長戦を行い、先にゴールした方が勝利する「ゴールデンゴール方式」を採用。決勝大会は3ゲーム先勝方式で行われる。


 ■ことば

リーグ・オブ・レジェンド

 世界中で親しまれている5人対5人で行う対戦型ゲーム。「チャンピオン」と呼ばれる能力や特性が違うキャラクターを140体以上ある中から1体ずつ選び、相手の本拠地の攻略を目指す。戦略や連携を必要とする。第3回選手権では、決勝大会の決勝のみ2ゲーム先勝方式で行われる。

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