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バイデン政権2021

第46代米大統領となったバイデン氏。分断された国内や不安定化する国際情勢にどう対応するのでしょうか。

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米カービー氏の「尖閣主権支持」発言、日本が冷静だった理由は?

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沖縄県・尖閣諸島。(手前から)南小島、北小島、魚釣島=2011年10月13日午後0時49分(代表撮影)
沖縄県・尖閣諸島。(手前から)南小島、北小島、魚釣島=2011年10月13日午後0時49分(代表撮影)

 「国際社会とともに、我々は明らかに尖閣の主権について日本を支持している」。2月23日、米国防総省のカービー報道官が沖縄県・尖閣諸島についてこのように発言した。米政府はもともとは日本の尖閣への「施政権」を認める一方、「主権」については「特定の立場」を取らない方針を示してきた。そこからするとカービー氏の発言はかなり踏み込んだものだ。

 日本政府としては、中国公船による尖閣周辺の領海侵入激化に神経をとがらせている時期でもあり、歓迎すべき発言に思える。だが日本外務省の幹部たちは、困惑しながらこの発言への肯定的評価を抑制した。そのワケは……。

「主権」とは?

 そもそも「主権」とは、国民と領域を統治する権力そのものを指す。一方で「施政権」は、特定の土地に対して特定の統治主体が、立法・行政・司法の三権を実際に行使する権限を持っている状況を指す。

 「施政権」と「主権」を米政府が使い分けるのには大きな意味がある。違いを意識するのにわかりやすいのが1972年に日本に返還される前の沖縄の位置づけだ。米軍占領下の沖縄の「施政権」は米側が持ちつつ、その間も「潜在的主権」は日本が持っていた。国際法の潮流では第二次世界大戦の以前から、戦争の結果としての領土の「割譲」を認めるべきでないとの議論が強力になっていた。米国をはじめとする連合国にとっての第二次世界大戦は、日本やドイツの「領土的野心」を否定するための戦いだった。だからこそ、第二次世界大戦で日本に圧勝した米国といえども、沖縄を「米国領」にすることはしなかった。

 竹島問題でも、米国は「施政権」は現状では韓国にあるとの姿勢を示しつつ、「主権」が日韓どちらにあるかについては「特定の立場」をとっていない。

 尖閣を巡って話題になる日米安全保障条約の5条は次のような文面だ。

 「各締約国(日米)は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動する」

 尖閣周辺では、中国公船が領海侵入を繰り返している。多くの場合は、日本漁船に接近・追尾し、「取り締まり」の実績を誇示しようとしている。そ…

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