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#最後の1年

新型コロナに揺れる学生スポーツ界。最高学年の選手は無念や戸惑いを抱きながら「最後の1年」を過ごしています。

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逆境で輝く「たたき上げの星」次なる一歩は 天理大ラグビー部

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全国大学選手権決勝で前半、トライを決めて喜ぶ天理大・市川敬太(中央)=東京・国立競技場で2021年1月11日、滝川大貴撮影
全国大学選手権決勝で前半、トライを決めて喜ぶ天理大・市川敬太(中央)=東京・国立競技場で2021年1月11日、滝川大貴撮影

 あの歓喜から2カ月。思い起こしても夢のようだ。天理大ラグビー部のCTB市川敬太(22)は語る。「こんな日が来るなんて考えたこともなかった。映像を見返すと、鳥肌が立って震えます。すごいことやったんだなって」。新型コロナウイルスの集団感染を乗り越えての全国大学選手権初制覇。「たたき上げの星」として時の人になった市川だが、春からは独自の歩みでまた新たな挑戦に入る。

 ラグビーの聖地、東大阪市で、4きょうだいの2番目に生まれた。校区内に花園ラグビー場がある市立英田(あかだ)中で競技を始めた。元日本代表CTBの元木由記雄氏(49)らを輩出した名門だ。当時の身長は150センチほど。市の選抜チームに入れず、地元の市立日新高へ進んだ。3年間、花園と縁はなく、どの大学からも声はかからなかった。

 だがラグビーが好きだった。「高校の実績がなくても、天理は頑張れば認めてもらえる」。天理大で活躍していたOBからそう教わった。練習会に参加して売り込み、入学をかなえた。

 1925年創部で、2011年度と18年度の大学選手権で準優勝した強豪。部員は高校時代の約30人から6倍程度に膨らんだ。身長173センチと小柄で、特別、足が速いわけでもない。「先輩もみんな大きいし、こんな人らと、一緒に試合に出られるんかなと思った」。同学年にもトンガ出身のCTBシオサイア・フィフィタ(22)やSH藤原忍(22)ら1年から即戦力で活躍するスター選手がいた。

 厚い選手層の中で埋もれた存在だった。だが積み重ねてきた努力は裏切らなかった。「絶対に試合に出られた高校時代とは違い、頑張らないといけない環境が自然にあった。同じポジションの人よりも練習しよう」。3軍から2軍へとコツコツと階段を上がった。

 そして3年時、…

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