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まいにちボードゲーム

日本ではゲームといえばテレビやスマホがメインですが、近年、対面で行う非電源ゲームも注目を集めています。人気のボードゲーム・カードゲームを紹介します。

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番外編 欠かさず見たい専門チャンネル「The Game Gallery」

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 ボードゲームに興味がある人間なら、おそらく誰もがチェックしているユーチューブの専門チャンネルがあります。

毎週5本の動画配信

現在では週に5回配信している「The Game Gallery」=ユーチューブから 拡大
現在では週に5回配信している「The Game Gallery」=ユーチューブから

 「The Game Gallery」(https://www.youtube.com/c/TheGameGalleryChannel)は、2014年からスタートした老舗中の老舗。現在、火・木曜日にゲームのレビュー▽土曜日に翌月の新作案内などの特番▽日曜日に1週間分のニュースとライブ配信――毎週計5本というハイペースの動画配信が続けられています。

 これまでに配信された動画は実に1200本以上。チャンネル登録者は1万5600人で総再生回数は約540万回。中・重量級のゲームを中心に、ルールの概要からプレーする際の注意点、マイナスポイントまで分かりやすく、かつテンポの良い編集で紹介されています。その上、まだ国内流通が始まっていない海外ゲームもいち早く取り上げられており、筆者もゲーム購入の指針にさせていただいています。

常に新しいものに挑戦

 今回、チャンネル管理人のHAL99(春)さんに、リモートでお話を聞くことができました。

 東京都内在住で50代の春さんの本業は、IT関係のコンサルタント。以前は年に100回以上も出張で地方を回っていたとのことですが、新型コロナウイルスの感染拡大で自宅にいる時間が増え、動画制作が加速しているといいます。「仕事でのプレゼンの場合、台本があり資料があり練習がありますが、動画配信はあくまでホビーなので、ボードゲームの楽しさが分かってもらえればOK。しゃべりたいように話し、やりたいように編集しているので続けられているのかも」と笑います。

 ユーチューブだけでなく、1996年からホームページ(当時はブログという言葉もありませんでした)で情報発信、09年にはポッドキャストでゲーム感想戦を配信。いずれも当時、定期的な情報発信をするのは春さんが初めてだったとか。「誰もやっていなかったから始めたというのが一番の理由。新しいものが大好きなんですね」

ずっとゲームと一緒に

 春さんは、小学校の頃から親戚のお下がりのすごろくなどのゲームをよく遊んでいたといいます。その後、80年代には国産玩具メーカーのゲーム、85年からは「ダンジョンズ&ドラゴンズ」などのテーブルトーク・ロールプレーイングゲームにはまり、90年代前半からは対戦型トレーディングカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」へ。当時関西に住んでいた春さんは、「マジック:ザ・ギャザリング」を遊ぶ会に出入りするうちに、ドイツ系のボードゲームに出会ったそうです。

 「最初は『ニムト』とか『ブラフ』など簡単なものを。半年後には『カタン』をやっていましたね」

 アメリカ系のゲームとはひと味違う魅力にとりつかれ、気がつけば所持ゲームは1000~1500個に。「正直、途中から数えていません。倉庫を借りて保管していますが、それでも場所が足りなくて」。ボードゲーマーにとって収納は共通の悩みです。

 ユーチューブに進出したきっかけは、大きな病気をしたからだといいます。「1、2カ月会社に行ってなかったんです。すごく暇なのでたまたまユーチューブを見てて、ボードゲームの紹介チャンネルはあったんだけれど定期的なものはなくて。うちに1000個以上はあるので、少なくとも1000個は紹介できると思って始めたんです」

少ない情報発信系

春さんといえばこの画角。緻密な編集でゲーム内容を分かりやすく紹介してくれる=ユーチューブから 拡大
春さんといえばこの画角。緻密な編集でゲーム内容を分かりやすく紹介してくれる=ユーチューブから

 春さんのスタイルは、ある程度の資料は用意するもののアフレコなしのぶっつけ本番。それでも収録と編集を合わせて1本2~3時間かかるそうです。週5本配信しようとしたら、最低10時間はかかる計算に。本業に加えデジタルゲームもかなりやり込んでいるそうで、いつ寝ているのか不思議です。

 そこまで数多く配信するモチベーションについて春さんは、近年ボードゲームのリリース量が大幅に増加しているのに、情報発信系のチャンネルが少ないことを挙げます。「この5年でボードゲームのユーチューブ動画はすごく増えたんですけど、ほとんどがプレー動画なんですね」。日本のユーチューブは、ボードゲームに限らず海外に比べて面白い系、バラエティー系の番組が多いのが特徴で、再生回数もその方が伸びるようです。

 「ボードゲームメーカーもコアなゲームを売りたいと思っているんだけど、ややもすると大量出版で埋もれてしまう。そこをお手伝いしたいという気持ちが強いですね」

目標は2万人の登録者

 当初は100本作るまでやってみよう、次は1000本、登録者1万人、そして500万再生回数が目標だった春さん。どれもクリアしてしまった現在。「今後どうしましょうね。とりあえず登録者2万人を目指します。日本では上限だと思います」。ドイツのように各家庭でボードゲームが普通に遊ばれるという状況にはならないだろうと、シビアに見ています。

 「さっきも言った面白い系チャンネルは増えていくでしょう。でもそこではボードゲームは楽しい映像を見せるための媒体の一つになっているように思えます」。つまりはコミュニケーションツールとしてのボードゲームということか。結論としてボードゲームの紹介だけで、専業ユーチューバーとして食べていくことは難しいということになりました。

やはり鉄板「プエルトリコ」

春さんがお薦めする植民地経営ゲーム「プエルトリコ」 拡大
春さんがお薦めする植民地経営ゲーム「プエルトリコ」

 最後に春さんの長年の経験から、これはというボードゲーム作品を教えてもらいました。

 まずはこのコラムでも以前紹介した植民地開拓ゲーム「プエルトリコ」。「サイコロも交渉もなく、いわゆる今の時代のゲームの祖になった作品。『プエルトリコ』からゲームの流れが変わったと思います」

 さらに、花札の「八八」、3人専用のトリックテーキング(トランプなどを使い、出したカードの種類、数字で勝敗を積み重ねるゲーム)の「99(ナインティナイン)」の二つを挙げてくれました。

 筆者はどちらも未経験なのですが、ぜひやってみたい。いつかこのコラムで紹介したいですね。

【野地哲郎】=次回は27日掲載

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