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田中優子の江戸から見ると

法政大総長・田中優子さんのコラム。江戸から見る「東京」を、ものや人、風景から語ります。

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サムライ問答

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 1月20日のこのコラムで、その日に発売となった松岡正剛さんとの対談書「江戸問答」(岩波新書)に触れた。この対談は「面影問答」「浮世問答」「サムライ問答」「いき問答」で構成されている。

 「面影問答」は、個々人の中にこそ日本の面影つまり風景や日々の生活や界隈(かいわい)、祈りの場所などの記憶が蓄積されていて、そこに日本や江戸文化を語る拠点がある、ということを対話した。「浮世問答」では、江戸時代に学問の多様化と「オタク」化が起こり、さまざまな学校が出現したことや、文化をつくる人々の連、その背後の経済などについて語り合った。

 「サムライ問答」は、明治時代、日本について英語を使って著し、海外で出版した3人の人物、内村鑑三、新渡戸稲造、岡倉天心から始まる。なぜなら近代日本の骨格を作ったのも、日本を海外に向かって語り始めたのも、彼らのような地方の藩士つまりサムライの家の出身者たちだったからだ。彼らが日本について何を「書かなかったのか」が、私の関心の的であった。江戸時代の大半を欠落させた近現代の日本観は、元サムライたちが外に…

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