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九州の玄関口・JR博多駅の駅ビル「JR博多シティ」が開業10周年を迎えた。九州新幹線全線開業に合わせて2011年3月にオープンし、博多阪急を核店舗に売り上げを伸ばしてきた。一方、旧来の商業地・天神も新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける前までは比較的好調を維持しており、専門家は「大型駅ビルとの共存は地方では珍しい」と指摘する。福岡の商業で何が起きているのか。
「博多ににぎわいを創出した」。10周年となった3月3日、記念式典で博多シティの前田勇人社長は笑顔でそう述べ、くす玉を割った。
博多シティは地下1階~地上10階(延べ床面積は24万平方メートル)と福岡市中心部では最大級の商業施設で、博多阪急のほかアミュプラザ博多などが入る。11年度に881億円だった売上高は7年連続で伸び、18年度には1185億円に到達。日韓関係悪化による訪日客減少や新型コロナウイルス感染拡大の打撃が出始めた19年度に初めて1・5%減と前年割れした。
大きな拡張もなく7年連続で増収となるのは珍しい。博多駅という好立地から話題の店を誘致しやすく、阪急は高級ブランドを充実させて九州各地の富裕層や出張客を取り込んだ。博多シティは大屋根のある駅前広場でのイベントにも注力し、イルミネーションは福岡の冬の風物詩に。前田社長は「通過点だった博多をくつろげる場所に変えた」と手応えを示す。16年には隣に博多マルイを核とする「KITTE博多」も開業し、周辺で働く人は「昔は天神に行っていたが、博多で事足りるようになった」(43歳男性)と喜ぶ。
では、商業の中心地・天神はどうなったのか。九州経済調査協会(福岡市)の集計では、博多…
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