次世代の原発までの「時間稼ぎ」 政府がいばらの道を歩む理由
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東京電力福島第1原発事故からの10年で、廃炉が決まったり再稼働が進まなかったりと原発を巡る状況は大きく変わった。それでも、1950年代から続く核燃料をリサイクルする国の政策は、維持されたままだ。60年以上前の政策を維持するために、さらに「次世代の原発」と呼ばれている高速炉の開発までの時間稼ぎをしようとする国や電力業界の姿が垣間見える。【荒木涼子、塚本恒/科学環境部】
「うまくいけば大丈夫」
2020年12月、東京・霞が関の経済産業省に、大手電力でつくる電気事業連合会の池辺和弘会長が訪れた。梶山弘志経産相に核燃料をリサイクルする「プルサーマル発電」の今後の方針を示した文書を手渡すためだ。「大臣からご理解をいただき(この方針を)進めていく思いを強くしました」。梶山経産相との会談後、報道陣に囲まれた池辺会長は満足げにそう語った。
原発で使い終わった核燃料からは、化学薬品などを使った特殊な処理により、プルトニウムを取り出すことができる。それを加工すると「MOX(モックス)燃料」と呼ばれる核燃料ができ、既存の原発で使えば核燃料のリサイクル(プルサーマル発電)になる。電事連はこれまで原発16~18基での導入を目指していたが、新たな方針では「30年度までに少なくとも12基」と事実上の下方修正をした。
福島第1原発事故に伴い国の規制基準が強化され、原発の再稼働は進んでいない。それでも、経産省にはどうしても12基でプルサーマル発電をしてもらわなければならない事情があった。…
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