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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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「負のスパイラル」人口減少が加速する被災3県、増加のカギは?

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海岸線に沿って建設された防潮堤。右奥は高台に造成された住宅地=宮城県石巻市雄勝町で2021年2月26日、小型無人機で小川昌宏撮影
海岸線に沿って建設された防潮堤。右奥は高台に造成された住宅地=宮城県石巻市雄勝町で2021年2月26日、小型無人機で小川昌宏撮影

 東日本大震災と東京電力福島第1原発で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の3県42市町村では、この10年で人口が4・3%減った。沿岸部では4割落ち込んだ自治体もある。この影響で学校の統廃合が急速に進んでいる。経済活動も停滞しており、活気が失われて人口がさらに減る「負のスパイラル」に陥りかねない状況になっている。【深津誠、菊池陽南子】

沿岸部で学校3割減、若い世代の流出懸念

 宮城県北部の三陸沿岸に位置する気仙沼市本吉町小泉地区。山林を切り開いて造成された高台に、2015年に建設が始まった50世帯ほどの真新しい家が並ぶ。津波で家を流された集落の住民が、丸ごと移り住んだ。移転候補地は住民が自ら選び、大学教授の助言も得て図面を作製した。「住民主導型」の移住を行政も後押しし、25億円を費やして新たな街が造られた。コミュニティーを維持した成功例として、専門家の高い評価を受ける。

 そんな地区に今、不安が影を落とす。中学校が17年に統合で姿を消した。40人ほどの児童が通う小学校も22年春以降になくなり、地区の学校はゼロになる見通しだ。「せっかくできた街なのに、若者がこの団地を選ばなくなる」。高台移転を取りまとめた住民代表の加納保さん(60)は地域の存続を懸念する。

 津波で多くの家が被災した気仙沼市では、避難先で生活を再建した住民らが流出し、震災前より人口が17%減少。学校の統廃合を進めざるを得なくなった。将来的に市立小中学校を震災前の半分の18校に減らす方針だ。小泉地区も加納さんらが住む集落はそろって移転したものの、地区全体の人口は23%減った。加納さんらと高台へ移った30代男性は20年春、息子を地区の小学校ではなく、統合先と見込まれる別の小学校へ入学させた。「本当は地区の母校に通わせたいが、統合されるなら早く慣れさせないと」と語る。

 被災42市町村への毎日新聞アンケートによると、…

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