特集

東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

特集一覧

「創造的復興」に大きな温度差 被災42市町村にアンケート

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
海岸線に沿って建設された防潮堤。右奥は高台に造成された住宅地=宮城県石巻市雄勝町で2021年2月26日、小型無人機で小川昌宏撮影
海岸線に沿って建設された防潮堤。右奥は高台に造成された住宅地=宮城県石巻市雄勝町で2021年2月26日、小型無人機で小川昌宏撮影

 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島3県の42市町村に対し、毎日新聞は2021年にアンケートを実施した。政府が打ち出した「創造的復興」は進んだのか、記憶の風化を防ぐ対策は――。回答の一部を紹介する。

商店集約で人通り増加

 防災機能を高めるまちづくりや産業振興を図る「創造的復興」について、「ある程度」を含めて「できた」とアンケートで答えたのは7割にあたる31市町村に上った。その理由としてインフラや防災拠点の整備を挙げる自治体が目立った。

 創造的復興は、震災から1カ月後の閣議決定で政府が掲げた目標。被災地を震災前の状態に復旧させることだけではなく、住宅地の高台移転やかさ上げなどにより防災機能を高めたり、なりわいを再生させたりするものだ。

 アンケートでは、創造的復興について「できた」「ある程度できた」「あまりできていない」「できていない」の四つの選択肢を示して質問した。

 「できた」を選んだのは6市町村。岩手県山田町は、震災前は広範囲に点在していた商店や金融機関などを駅前のかさ上げ地に集約したことを創造的復興の代表的な事業に挙げる。担当者は「人通りや車の行き来も増え、にぎわいの創出が達成できたと感じている」と話した。

 宮城県岩沼市では、沿岸部で被災した六つの集落について、それぞれのコミュニティーを大切にしながら一つに統合した玉浦西地区がその例という。

 「ある程度できた」と答えた自治体が最も多く、25市町村だった。岩手県岩泉町は、人口減少や高齢化を見据えて公共施設や住宅地を集め、近くに三陸沿岸道路のインターチェンジも整備した点を強調する。

 一方、「あまりできていない」「できていない」を選択したのは9市町村。うち5市町村は、福島原発事故の影響を受ける福島県内で、川俣町は「ハード事業は施工中だが、被災者支援を継続する必要がある」、大熊町は「一部で避難指示が解除されたばかりで、復興事業はこれからだ」と回答した。

 相馬市は「そもそも創造的復興という観点で事業をやっていない」とし、2019年の台風19号や新型コロナウイルスの影響で「復旧事業に遅れが生じている」と明らかにした。

 岩手県田野畑村は「高台移転によるコミュニティーの分断や商店の廃業などがあり、創造的復興は実感できていない」と課題を挙げた。

 福島県富岡町は「現時点で(復興)度合いを示すことは困難」として選択肢を選ばなかった。「復興は道半ばの状態。真の復興には、帰還困難区域全域の再生が不可欠だ」と訴えた。【韮澤琴音】

復興住宅、進む高…

この記事は有料記事です。

残り1799文字(全文2860文字)

【東日本大震災】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集