特集

東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

特集一覧

福島・帰宅困難地域で進む除染土受け入れ 再利用の理解は不十分

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
除染土を再利用する実証実験が進む長泥地区=福島県飯舘村で2021年3月3日午前10時53分、高田奈実撮影
除染土を再利用する実証実験が進む長泥地区=福島県飯舘村で2021年3月3日午前10時53分、高田奈実撮影

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た土について、農地造成に再利用する環境省の実証実験が福島県の帰還困難区域で進む。原発被災地でありながら、事業を受け入れる地元の思いは複雑だ。育った農作物は将来的に市場へ出荷される見込みだが、除染土の再利用に国民の理解は深まっているとは言えず、専門家は国の情報発信不足を指摘する。【高田奈実】

「きれいになるなら…」苦渋の決断

 福島第1原発から30キロ。帰還困難区域の福島県飯舘(いいたて)村長泥(ながどろ)地区に入ると、白い建物が見えてきた。3月下旬に稼働する「再生資材化プラント」。除染土から木や石といった異物の除去などをする施設だ。34ヘクタールの農地造成予定地は道を挟んで隣に広がる。以前は田んぼがあった場所で、除染土を盛り土して農地にする。造成は4月に始まり、再利用する除染土は少なくとも43万トンと見込まれる。

 長泥地区では2018年から農地造成に向けた環境省の実証実験が全国で唯一行われている。放射性セシウムの濃度が1キロ当たり5000ベクレル以下(環境省が農業従事者に影響がないとする値)の除染土で盛り土し、別の土で50センチ覆った土壌で野菜や花を栽培。作物の放射性物質濃度を調べるものだ。20年に収穫したトウモロコシやカブ、ミニトマトは同0・1~2・3ベクレルで、厚生労働省の出荷基準値(同100ベクレル)を下回った。20年からは覆土しない栽培も試している。現在、作物は廃棄しているが、環境省は農地が完成すれば村に譲り渡し、営農再開後は市場への出荷を見込む。営農再開時期は未定だ。

 長泥地区(10・8平方キロ)は原発事故の影響…

この記事は有料記事です。

残り1570文字(全文2260文字)

【東日本大震災】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

注目の特集