呼吸器つけ通学、1人暮らし 難病の活動家・平本歩さんが生きた道

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平本歩さん(手前)は全国を旅した。東京への日帰り旅行では、ヘルパーと水上バスにも乗った=2014年5月16日(平本美代子さん提供)
平本歩さん(手前)は全国を旅した。東京への日帰り旅行では、ヘルパーと水上バスにも乗った=2014年5月16日(平本美代子さん提供)

 人工呼吸器をつけて地元の小中高に通い、成人後は1人暮らしを実現した社会活動家、平本歩(あゆみ)さん(兵庫県尼崎市)が1月、35歳で亡くなった。強い意志で社会のさまざまな障壁を乗り越えていく生きざまは、多くの人たちの道しるべともなった。「歩の歩みを伝え、受け継いでいく」。母美代子さん(70)は遺影に誓う。

 歩さんが10年間、1人暮らしをしたマンションの一室。部屋には移動式ベッドが残されたまま。ベッドにはたくさんの花や写真が飾られている。不思議と涙は出てこない。「懸命に生き抜いた歩を思うと、もっと前を向いて生きないと」。美代子さんがつぶやく。

前例なかった在宅生活

 思えば、歩さんの人生には常に「初めて」の冠がついた。歩さんは全身の筋力が低下する難病「ミトコンドリア筋症」を患い、生後半年で人工呼吸器を装着。体はほとんど動かせず、気管切開したため話すこともできなくなった。4歳の時に本人の強い希望で病院を退院、前例のなかった在宅生活を始めた。

 当時は在宅での人工呼吸器が保険適用されず、約500万円かけて両親が自腹でそろえた。歩さんは人工呼吸器をつけた移動式ベッドに横たわって一日を過ごし、両親が鼻から管を通して栄養を補給し、1時間に数回、たんを器具で吸い取った。介護方法、歩さんの送った日常生活は、そのまま、在宅で人工呼吸器を使用する子どもと家族にとって「マニュアル」となった。

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