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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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地震予測の舞台裏

「想定外をなくせ」学者らの後悔が生んだ巨大な被害推計 /4

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南海トラフ巨大地震の被害想定について記者会見する(右から)阿部勝征東大名誉教授、中川正春防災担当相、河田恵昭関西大教授=東京都千代田区で2012年8月29日午後3時16分、手塚耕一郎撮影
南海トラフ巨大地震の被害想定について記者会見する(右から)阿部勝征東大名誉教授、中川正春防災担当相、河田恵昭関西大教授=東京都千代田区で2012年8月29日午後3時16分、手塚耕一郎撮影

 東日本大震災は、発生直後から「想定外」が強調された。政府はさらなる想定外を防ぐために「最大クラス」の地震・津波を推計し公表するようになったが、南海トラフ地震の巨大な被害の想定は、沿岸自治体の否定的な反応を引き起こす。非公開だった議事録を情報公開請求し、関係者に取材を重ねると、一連の動きの裏側にどのような議論があったのかが見えてきた。

「まさか…」そして始まった議論

 2011年3月11日夜。東日本大震災の余震が続く中、東京都千代田区の文部科学省3階に14人の地震学者が集まった。政府の地震調査委員会の「臨時会」に出席するためだ。非公開だった会議の冒頭、高木義明・文部科学相が形式的なあいさつを終えたところで、阿部勝征・東京大名誉教授(故人)が反省の言葉を述べ、「想定外」を巡る議論の口火を切った。

 「このような超巨大地震が発生するのは他の国のことかと思っていた。まさか東北地方の沖合で起こるとは。考えが及ばなかった」

 大震災を引き起こしたのは、マグニチュード(M)9・0の超巨大地震だった。それまで地震調査委は、東北地方太平洋側の日本海溝沿いの領域(範囲)を「宮城県沖」「福島県沖」などと細分化し、M6~8級の地震を想定していた。しかし3月11日の地震は、六つもの領域にわたって断層面の破壊が広がった。臨時会後に地震調査委が公表した評価文には、「すべての領域が連動して発生する地震については想定外であった」と書かれることになった。

 しか…

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