特集

大学関連ニュース

全国の大学に関するニュースを集めました。

特集一覧

サンデー毎日発

2021年入試速報 コロナと入試改革が直撃 「戦後初」の大幅な志願者減

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
2021年度入試 私立大志願者数トップ20 拡大
2021年度入試 私立大志願者数トップ20

 2021年度(21年4月入学)の一般選抜は、多くの私立大で志願者が減少した。一因はコロナ禍だ。しかし、逆にこれを追い風にして志願者が増えている大学もある。激変の私立大の出願状況を探った。

 21年度の私立大一般選抜の出願状況を「私立大志願者数トップ20」でみると、1位は8年連続の近畿大でほぼ確定。唯一、10万人を超えている。2位は前年同時期の5位から上がった明治大、3位は同じく8位から千葉工業大が入った。順位の変動はあっても、20大学の顔ぶれは前年と同じ。そうした中、大半の大学で大幅な志願者減となっていることが、21年度入試の特徴だ。代々木ゼミナール教育総合研究所の坂口幸世主幹研究員は言う。

 「総合大学の多くが1割以上の志願者減となっており、ここまで私立大の一般選抜の志願者が減少したことは記憶にない。戦後初めてのことです」

 志願者数ベスト20のうち、1割以上下回っている大学は、日本大、早稲田大、法政大、東洋大、立命館大、関西大、中央大など13大学に上る。

 前代未聞の出願状況となった要因として考えられるのは、①ベースとなる18歳人口の減少②21年度の入試改革を嫌った浪人生の大幅減③学校推薦型選抜など年内入試で進路が決まった受験生が抜けたこと――の3点が挙げられる。さらに坂口氏は、四つ目の要因として、コロナ禍で都市部の大学に出願する地方の受験生が減っていることを挙げる。

 「コロナ禍の移動を嫌い、都市部で実施する本学試験に出願しないばかりか、地元で受けられる地方会場試験や出願するだけの大学入学共通テストを利用する方式の志願者も減っているようです。これはコロナ禍で、都市部の大学を敬遠する受験生が増えていることを示します」

 地方試験会場のみの集計はこれからだが、総合大学の全学部入試の出願状況が一つの目安になる。全学部入試は一度の入試で複数の学部・学科を併願でき、地方の受験生が利用しやすい入試方式だ。この方式の志願者の減少率が一般入試より大きいということは、その大学の地方からの受験者の減少を意味する。例えば、中央大の志願者は一般入試が前年比96・7%なのに対し、地方試験会場を設けている統一入試(全学部方式に相当)は79・1%と減り幅が大きい。同様に明治大は学部別入学試験(一般入試に相当)98%に対し、全学部統一試験は81・5%となっている。

 「せっかく都市部の大学に合格しても、オンライン授業でキャンパスライフを送れないのでは、進学する意味がない。苦しんだ先輩の状況を見ているので、地元大学でいいと考える受験生が多いのでしょう」(坂口氏)

 前出の四つの志願者減の要因に加え、五つ目として大学ごとの入試改革がある。早稲田大は政治経済、国際教養、スポーツ科の3学部で共通テストと大学独自試験を組み合わせた国公立大型の入試を実施。政治経済は共通テスト利用の123人減に対し、一般入試は2089人と大幅減。青山学院大は私立大型の全学部日程が574人増となる一方、経済以外で実施した国公立大型の個別学部日程は1万6603人減となった。

 次に、志願者が増えた数少ない大学である11位の立教大と、12位の龍谷大に注目しよう。両大学には新学期の授業を対面中心とし、一部をオンラインで行うことを早い時期に公表した共通点がある。坂口氏が言うように、受験生はキャンパスライフを望んでいる。その期待に応えたことが志願状況に表れているようだ。同様の授業体制を打ち出している明治大も志願者は減っているが、減少幅は現時点で3・9%。後期分を合わせるとさらに減少率は下がる。

 ランキング外の大学を見ると、上智大は国公立大型の学部学科試験・共通テスト併用型で大幅減となった。しかし、新規導入の共通テスト利用型の志願者分が好調で、大学全体では微増。志願者増の背景には、早くから対面授業重視を打ち出した効果もあろう。駒澤大や関西学院大なども同様の追い風が吹き、志願者が増えそうだ。

 コロナ禍でキャンパスライフに不安を抱く受験生の気持ちに寄り添った大学が、前代未聞の出願状況になった21年度入試で志願者を増やすことになった。

【大学通信・井沢 秀】

*「サンデー毎日」2021年3月21日号より転載。実際の誌面では、私立大150校の合格者高校別ランキングも掲載されています。

あわせて読みたい

マイページでフォローする

ニュース特集