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第3回全国高校eスポーツ選手権

eスポーツを楽しむ高校生を応援し、文化として発展させていくことをテーマに開催される「全国高校eスポーツ選手権」の特集ページです。

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eスポーツ、壁越え連帯感 あすから高校選手権決勝大会 OBエール

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第2回選手権決勝大会で試合に挑む高校生たち=東京都渋谷区で2019年12月29日、丸山博撮影 拡大
第2回選手権決勝大会で試合に挑む高校生たち=東京都渋谷区で2019年12月29日、丸山博撮影

 高校生がチームを組み、対戦型コンピューターゲームで競う「全国高校eスポーツ選手権」(毎日新聞社など主催)。13、14日に開催される第3回の決勝大会を特別な思いで見つめる人たちがいる。足の障害や引きこもりを乗り越え、同選手権に出場したOB選手たちだ。決勝大会に臨む高校生に向け、「悔いの残らない試合を」とエールを送る。

障害あっても対等

 「eスポーツに出会わなければ今の自分はなかった」。名古屋市の城北つばさ高OBのエムディ・ラハトさん(19)は高校時代、eスポーツに没頭した。

エムディ・ラハトさん=ワンダープラネット提供
エムディ・ラハトさん=ワンダープラネット提供

 3歳の頃、母国のバングラデシュで交通事故に遭った。足に障害を負い、車椅子生活になった。小学生の時に両親の仕事の関係で来日。障害のため、スポーツで体を動かすことはほとんどなく、運動の部活にも入れなかった。

 高校入学後、友人から誘われて入部したのがeスポーツ部だった。取り組んだのは、5人対5人の陣取りゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」。2年生の時に第1回全国高校eスポーツ選手権に出場し、初めて挑んだ予選で3回戦まで進んだ。翌年の第2回選手権は実力を発揮できず1回戦で敗退。「公式戦の緊張感は特別。頭が真っ白になり、普段できることが全然できなかった」。それでも熱心に練習に打ち込み、チームメートとの絆を深め、試合を戦い抜いたことは良い思い出で、自信にもなった。

 今は、eスポーツが縁でゲーム開発会社「ワンダープラネット」(名古屋市)に勤務しながら、サッカー・J1名古屋グランパスのeスポーツアンバサダーとして競技の魅力を伝えている。ラハトさんは「eスポーツは障害があっても、対等に試合ができる」と話し、こう続けた。「障害のある人にも楽しさを分かってもらいたい」

佐倉涼太さん=バーニングコア提供
佐倉涼太さん=バーニングコア提供

留学生と共闘

 第1回選手権で準優勝した岡山県新見市の共生高OB、佐倉涼太さん(19)は現在、eスポーツのプロチーム「バーニングコア」に所属し、「赤バフ」のプレーヤー名で活躍している。

 小中学校時代、重いぜんそくで登校できない日が続いた。家からほとんど外に出ない生活の中で唯一、熱中したのが、兄と一緒に始めたゲームだった。オンラインで国内外の若者と対戦を繰り返して腕を上げ、自信を付けていった。

 共生高2年の頃、第1回選手権の参加募集を知り、「どうしても大会に出たい」と思った。LoL部門に出場するには、他に選手を4人集めなければならない。そこで、ゲーム好きの中国人留学生を勧誘した。

 言葉の壁があり、初めはコミュニケーションを取るのに苦労することもあったが、話し合いを重ねるうちに連帯感が生まれていった。

 大会では、初戦で水城高(茨城)に勝利して勢いに乗り、強豪・N高心斎橋(大阪)から出場した2チームを破るなど快進撃を見せた。決勝で東京学芸大付国際中等教育(東京)に逆転負けを喫したが、力を出し切った。

 試合後、この大会を最後に帰国しなければならない中国人留学生のチームメートが号泣した。つられて佐倉さんらも涙で顔をくしゃくしゃにした。だが、仲間と最後まで戦い抜いたという充実感からか、涙顔は自然と笑顔に変わった。みんなと試合ができた喜びが消えることはなかった。

 「高校時代、選手権という目標があったから頑張れた」と佐倉さん。後輩たちにも全力で挑戦してほしいと願っている。【杉本修作】


 ■ことば

第3回全国高校eスポーツ選手権

 3人対3人で対戦するサッカーゲーム「ロケットリーグ」と、5人対5人の陣取りゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」の2部門で実施する。今回は過去最多の計194校346チームがエントリー。2020年11月からの予選を突破した計8チームが決勝大会に挑む。新型コロナウイルス感染症対策のため、予選に続いて決勝大会もオンラインで開催する。

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