特集

ヤングケアラー

通学や仕事をしながら家族の介護をする子ども「ヤングケアラー」。将来が左右される深刻なケースも。

特集一覧

ヤングケアラー~幼き介護

孤立しがちなヤングケアラー 早期発見・支援に何が必要?

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
ヤングケアラーに関する設問が初めて出題された2020年度のケアマネジャー資格試験。平日に祖母を介護する孫の負担にどう対応するかを尋ねた=東京都福祉保健局のホームページから
ヤングケアラーに関する設問が初めて出題された2020年度のケアマネジャー資格試験。平日に祖母を介護する孫の負担にどう対応するかを尋ねた=東京都福祉保健局のホームページから

 通学や仕事をしながら家族の介護・世話をする子ども「ヤングケアラー」をめぐる全国調査に政府が乗り出し、日本社会で問題への関心が急速に高まりつつある。しかし、SOSを出せずに孤立しがちな子どもたちに、どんな支援をどう届けるのか。早期発見に向けた取り組みなど、官民双方が具体策を模索している。【山田奈緒、田中裕之】

制度の恩恵 届かない子どもたち

 「どうして一緒に洗ってくれないの?」。当時中学1年生だった横浜市の沖村有希子さん(31)は憤りを感じた。交通事故で手足が動かなくなった母の元に来るホームヘルパーが、洗濯機に入れた沖村さんの衣服だけを洗わず、取り出したのを見た時だった。

 沖村さんは、小学6年の頃からシングルマザーの母を介護した。母には障害福祉サービスでヘルパーが派遣されたが、調理・洗濯などの家事援助は、対象が障害のある当事者に限定される。「娘が学校から帰った後に洗濯していたら、翌日の体育の授業までに体操着が乾かない。一緒に洗ってあげて」と母は訴えた。

 「洗濯物が交ざっていたら私は分からないからね」と内緒で応じてくれるヘルパーもいたが、母の頼みを断る人の方が多かったという。ヘルパーが母の朝食しか作ってくれないため、沖村さん自身は登校途中で買ったゼリー飲料が朝食だったこともあった。「中学生はヘルパーから大人と同等に見られて、助けてもらえなかった」

 厚生労働省によると、障害福祉サービスの家事援助には、障害者の親を持つ子どもの生活を助ける「育児支援」の仕組みがある。ただし、何歳までの子どもを「育児」として支援できるのか、明確な基準はない。主に高齢者介護のために利用される介護保険では、ヘルパーが被介護者以外を援助すること自体が認められていない。

 沖村さんは介護の疲れから中学の授業中に寝てしまうことが増え、成績が落ちた。…

この記事は有料記事です。

残り2040文字(全文2807文字)

【ヤングケアラー】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

注目の特集