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「池江璃花子一択」演出は“大人の都合” 五輪機運醸成に違和感

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聖火の入ったランタンを掲げる池江璃花子選手=東京・国立競技場で2020年7月23日午後8時22分(代表撮影)
聖火の入ったランタンを掲げる池江璃花子選手=東京・国立競技場で2020年7月23日午後8時22分(代表撮影)

 もやもやしていた。時折、小雨をぱらつかせた空も、自分の心も。そんな中、白い衣装で現れたアスリートは、聖火のともったランタンをそっと持ち上げると、無観客の国立競技場で必死に言葉を紡ぎ始めた。

 東京オリンピック開幕1年前の2020年7月23日に登場したのは、白血病からの闘病生活を乗り越えた競泳女子の池江璃花子選手(20)。「スポーツは人に勇気や絆をくれるもの。逆境からはい上がっていく時にはどうしても希望の力が必要」。メッセージの一節一節は、多くの人の心へ訴えるものだった。そこに異論の余地はない。だが、起用された背景を探っていくと、違和感を覚えずにはいられなかった。

 演出を担当した電通出身で、クリエーティブディレクターの佐々木宏氏は「強いメッセージを発するには適役」と起用理由を説明した。関係者によると、東京を目指す選手や引退した著名メダリストから1人を大会の象徴として起用するのは「角が立つ」として難しく、人選は「池江一択」だったという。

 「強いメッセージ」が必要だったのは、五輪への機運が高まらなかったからに他ならない。早稲田大と同志社大の研究機関が昨年6~7月に3回にわたって実施した調査では、通常開催に肯定的な回答は当初の25%から18・4%まで下がり、否定的な回答は45・1%から52・7%に増加。五輪反対の波は「想像以上だった」と組織委幹部は言う。

 ただ、よく考えてほしい。池江選手…

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